特選AVレビュー『もしも女戦闘員が正義のヒロインに変身したら（GIGA）』

正義のヒーローたちからは追い立てられ、悪の仲間たちからはセクハラの日々。そんな冴えない境遇にいた女戦闘員が、誰にも知られず正義のヒロインに変身できるチャンスを得たら......。哀しき女戦闘員が味わう、かつてなかった天国と地獄！
下っ端戦闘員と正義のヒーロー。同じ大きさの同じ人間なのに、どうしてこんなにも扱いが違うんだろう？？
子供の頃、テレビで特撮戦隊物を観てそう思った人はいませんか。
かくいう私もその一人でした。ヒーローのパンチやよくわからない光線でバタバタやられていく戦闘員たち......。別に相手に個人的な恨みがあるわけでもないだろうに、機械的に闘って機械的に死んでいくしかない生まれついての"歩"人生。ああ、なんてやりきれない......できることならこうはなりたくないと、子供心にそう思っておりました。

さて、本作はそんな戦闘員たちの哀しみ（？）に目をつけたちょっと面白い一本。ひょんなことから正義のヒロイン・リュウセイブルーの死に出くわした女戦闘員が、「もしかしたらこんな私でも正義の味方になれるかも」と、そのまま入れ替わってしまうという設定です。
憧れの正義のヒロインになってはみたものの、中身は十把一絡げの戦闘員なことに変わりなし。立ち向かった怪人にはボロ負け、仲間のリュウセイジャーにも正体がバレて痛めつけられてしまうという寸法。
下っ端戦闘員が正義のヒーローと入れ替わるという設定だけを見ると「ちょっと笑えるコメディ」って感じがするんですが、実際に観てみると戦闘員とヒーローの格差がリアルで、笑いながらもどんよりすることしきり。
あんまりよくできてるんで、下っ端戦闘員的な日々を送る身としては、ついつい感情移入してちゃいましたよ。

グッとくるのは、まず女戦闘員役の白井まいちゃんのキャラ。戦闘員の黒マスクをかぶっているので最後の凌辱シーンまで顔は出てこないんですが、妙に色っぽい身体つきやキレの悪い動きがダメな戦闘員って感じでキュンときます。
そしてここが重要なんですが、この女戦闘員、普段から男性戦闘員にマッサージ要員としてこき使われ、セクハラの餌食にまでなっているという設定なんですね。おっぱい触られれば一応気持ちよくなっちゃったりもするんですが、最後の一線を拒むと「ノリが悪いヤツだなあ......つまんねえ、飲みに行こうぜ！」なんて言われちゃったりもする。
つまり、戦闘員とヒーローって格差だけでなく、同じ戦闘員ヒエラルキーの中では男女の格差にまで晒されているというわけです。まるで零細企業の派遣OLですよ。うう、泣かせるなあ......。

さて、下っ端女戦闘員が派遣OLだとすれば、正義のヒーローはエリート正社員。
同じ女であるリュウセイピンクは、彼女が偽物だとは気づかず「ねえ、ご飯行こうよぉ～」なんて誘ってきます。
それに対して「えっと、今日は母親の看病があるから行けないの......」と必死でごまかす女戦闘員。もう涙なくしては見られません。
結局怪人に負けてしまい、リュウセイピンクによって偽物だと暴かれてしまうんですが、ここからの展開がまた素晴らしい。
「電話しても出ない、メールの返信もこないからおかしいと思ってたら......あんたのせいだったのね！」
リュウセイブルーのふりをしていた女戦闘員を、ものすごい勢いで痛めつけるリュウセイピンク。
実は彼女とリュウセイブルーはレズの恋人同士だったんですね。
「ごめんなさい、ごめんなさい」と平謝りする女戦闘員を容赦ない腹パンチで追い詰めていく姿は、まるで『その男、凶暴につき』のビートたけしのよう......（わかる人だけわかってくれればいいです）。感情の起伏を押し殺してしつこく殴り続ける狂気！
また、リュウセイピンク役の小西まりえちゃんが、150センチないロリロリ娘のくせに迫力あるいい演技するんだよなあ。
「お前ら、ブルーとヤリたかったんだろ。バッタもんで悪いけどこいつで我慢してくれ」と男性ヒーローたちをたきつけて、女戦闘員をボコボコに犯させてしまうんです。

結局アヘアヘ言って感じてしまう女戦闘員。その耳元で「良かったね。ヤラれたかったんでしょ！」と冷たく言い放つ本物の正義のヒロイン。いやあ、怖いわ～。挫折知らない人って怖いわ～。
そりゃ勝手に入れ替わっちゃったのは悪いけど、下っ端には下っ端の、エリートにはわからない事情があるんですよ......。

ムラムラしたり笑ったりしつつも、つい「はぁ......」とため息をついてしまいました。正義のヒーロー側の人生送ってる人が観たら、このへんはどうなのかなあ。
とはいえ、物語としては掛け値なしに面白い出来栄えになっているので、興味のある方は是非どうぞ。おすすめですよ。

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『もしも女戦闘員が正義のヒロインに変身したら（GIGA）』

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