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69年≒現代サイケデリック・レトロフューチャー! 『バサラ人間』公開!

69年≒現代サイケデリック・レトロフューチャー!
新宿を舞台に繰広げるファッショナブルな変態群像劇


(c)映画「バサラ人間」製作委員会

山田広野監督作品
『バサラ人間』

監督=山田広野
主演=団時朗

時代の寵児、ファッションデザイナーのアナニス・オナニス氏が提唱する「バサ ラ」というライフスタイル。 その渦中でアイドル・ピチャ、美少女モモコに降りかかる変態達の歪んだ欲望。 時間・性差・階級等全ての壁を自由にすり抜ける不思議な人間・ナッグ。 次第に明かされるナッグの謎が、オナニスの嘘を解き明かしていく…。

これまで自ら監 督した映画を自ら活弁をつけて上映するという独自のスタイルで活動を行ってき た山田監督が、今回は"活弁"を封印し、長編劇映画に挑んだ!

3/28(土)より渋谷ユーロスペースにてレイトショー!!



1969年、長尾みのるがヒッピー・フーテン・アングラ文化への回答として描いた「イラストーリー バサラ人間」(1969年)を活弁士の山田広野が実写映画化。原作の熱烈なファンである山田広野が同著の復刻に際する企画で著者と対談した折、本人から「映画作ってよ!」と背中を押されたことから決意の映画化となったようだ。もともと山田広野は自分で撮った無声映画に自ら活弁をつけるという独特のスタイルを持った映画監督としても知られているが、長編トーキー作品をリリースするのは今回が初めて。原作に強烈な時代性がある分、それをどう脚色して現代に利かせられる作品とするかが腕の見せどころとなる。

舞台は新宿。世の若者はカリスマ的ファッションデザイナーのアナニス・オナニス氏(団時朗)が提唱する「バサラ」というライフスタイルに塗り込められ、オナニス氏プロデュースのアイドルユニット「バサラ天女」は時代の寵児に昇り詰めていた。そんなオナニスブームに触発されて田舎から上京してきた美少女・モモコ(仲村みう)と、「バサラ天女」のヴォーカルでファッションリーダーとなったピチャ(久世 律)を取り巻く欲深き者たちの人間模様。現在と過去と自在に行き来する不思議な人間ナッグ(采香)が、冷めた瞳でそのすべてを見つめていた……。

(c)映画「バサラ人間」製作委員会
ロケを新宿で行なっているが、新宿ゴールデン街のレトロフューチャーな路地や看板、実在する店の中など、過去と現在をつなぐ場を今のリアルな景色に見出して活用しているところが面白い。単なる「レトロ感」に終わらせず現代を映し出すことは、おそらく映画化にあたっての至上命題だったのではないかと思う。また、原作の魅力の一つであるサイケ&ガーリーなファッションをきっちり取り込んで楽しませつつ、そこに映画独自の意味を持たせているところも、「時代性」をどうするかということへの明確な回答になっている。

ところで、仲村みうの喋り方が微妙にフワフワして見えるのは、意図したものだとしてもどこまでがそうなのか。「バサラ天女」の歌がペラペラに作られているのも同じ狙いだとして、それは本当に的確なラインなのか。また「変態」の度合いは何で測ってよしとしたのか。映画は全体として「バサラ」の意味を問う内容になっており、皮肉のこもった筋になっている。構造自体はとてもシンプルなのだが、仮に観ていて普通に引っかかる部分を全部作戦=皮肉と言われるとすると(そう思ったほうが筋は通る。でも)、釈然としないものが残る。その心地悪さは本当に狙い通りの着地点なのかと個人的には戸惑った。

(c)映画「バサラ人間」製作委員会
長尾みのるの『イラストーリー バサラ人間』は、かつて文化や人間へのカウンターパンチとして機能した。その艶やかな毒々しさと射程の長さを愛した山田広野監督は、すでに放たれたパンチの威力を信じきるところから制作を始めたのだと思う。原作とは違う仕方で「バサラ」を表現しようとする一方で、原作へのデリケートで誠実な向き合い方もうかがわせている。しかし映画を観る人が同じものを信じているとは限らないだろう。ストレートにねじ伏せるようなパワーを感じさせて欲しかったというのも正直なところだ。

文=井上文


山田広野監督作品
『バサラ人間』
3/28(土)より渋谷ユーロスペースにてレイトショー!!

(c)映画「バサラ人間」製作委員会
監督=山田広野
原作=長尾みのる
脚本=渦匁 悠一郎、北庄司 知宜、山田 広野

キャスト=
団時朗|采花 仲村みう|久世律
OBIKA|佐々木ユメカ 沢田王子

製作=
映画『バサラ人間』製作委員会:ヤリタイ・ピクチャーズ、 株式会社ス タジオ・ポット(ポット出版) 、株式会社 汎企画

配給=スローラーナー

2007年|カラー|HD|ステレオ|1時間17分


関連リンク

映画 バサラ人間公式WEBサイト


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井上文 1971年生まれ。SM雑誌編集部に勤務後、フリー編集・ライターに。猥褻物を専門に、書籍・雑誌の裏方を務める。発明団体『BENRI編集室』顧問。

03.25更新 | WEBスナイパー > レビュー |







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