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映画『14歳』  【レビュー】

幾度も積み重ねられる映像と緻密に練り上げられた音楽。
映像ユニット「群青いろ」=高橋泉と廣末哲万=による劇場デビュー作。

14歳(C)PFFパートナーズ2006


第16回PFFスカラシップ作品
14歳

5月19日(土)より、ユーロスペースにてロードショー(全国順次公開)

PFFスカラシップという、これまでに多数の映画監督を輩出した制度からデビューとなった「群青いろ」。彼らがメジャーデビュー作のモチーフとして取り上げたのは“14歳”である。14歳という年齢を扱った作品は数多く、すでに高い評価を受けているものも少なくない。こうした状況の中、敢えてそのような題材を選んだ彼らだが、現在監督の廣末は28歳。脚本の高橋は33歳。そして奇しくも今年は、神戸連続児童殺傷事件から10年目を迎える。

この作品は、理解されることを希求する子供たちと、かつて14歳だった記憶にさいなまれる大人たちを圧倒的なリアリティを帯びて描き出す。既存の映画的文法に依存しない映像手法。複数の登場人物による幾層にも積み上げられた巧みな脚本。そして緻密なまでに練り上げられた音の効果。そのすべてが相まって、痛々しいほど冷酷な人間の姿が描かれ、ざらついた苛立たしさにも似た感情が私たちに蓄積されていく。そしてある瞬間に気づくのだ。この鬱屈とした感情こそ“14歳”というリアリティを突きつけられた証であると。だがそこに映画的カタルシスは存在しない。観客の苦々しい息苦しさは、決して劇中では解消されることがない。

この映画のラストシーン間際、監督であり主演を務めた廣末哲万扮する、かつての14歳から現在の14歳へと悲痛な叫びが伝えられる。「お前たちが僕に何かを求めるなら、僕はそれに応える」というものだ。だがこの叫びが現実の14歳に届くことはないだろう。しかし苦々しい痛みを携えたまま劇場を離れて、現実を生きねばならぬ私たちは知っている。彼の叫びは、劇中で得られることのなかったカタルシスは我々ひとりひとりの人生で実現されねばならない、そうしたメッセージであることを。この映像ユニットが非凡である理由はここにある。

文=編集部


『14歳』 2006年/日本/35ミリ/114分/モノラル
第16回PFFスカラシップ作品
監督・主演:廣末哲万 脚本:橋泉
出演:並木愛枝、藤井かほり、渡辺真起子、香川照之
製作:PFFパートナーズ=ぴあ、TBS、TOKYO FM、IMAGICA、NTTレゾナント、ヒューマックスシネマ
配給・宣伝:ぴあ  宣伝協力:アルバトロス・フィルム


関連リンク

公式サイトURL=http://www.pia.co.jp/pff/14sai/

04.17更新 | WEBスナイパー > レビュー |







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