「ニッポンの年中行事」 - 女児は荒らされて成長する

女児は荒らされて成長する

インベカヲリ★が日本の習わしやしきたりを撮り下ろす写真作品シリーズ。年中行事に合わせてお届けします。 雛荒らし　　 3月3日の「雛祭り」は、お雛様を飾り、桃の花を供えて女児のすこやかな成長を祝う風習であるが、岡山・徳島地方では同時に「雛荒らし」の行事が行なわれる。豆アラシ・ヒナサンサラエとも呼ばれる。

この日は男女の子供たちが群れをなし、「オヒナアラシニサンジッタ」と唱えごとをしながら、初節供・初嫁の家々を回り、雛祭りの供え物を貰い歩く。にぎやかに雛荒らしされるほど家が栄え、女子がめでたく成長すると言われているため、家々では子供たちを歓迎し、アラレや豆炒り、巻き寿司や白酒などを振舞う。家の住人が留守の場合でも、縁側が開いていれば勝手に入り、雛壇の供え物をありがたく頂戴する。
子供たちが去った後は、まるで雛壇が荒らされたかのように淋しくなることから「雛荒らし」と呼ばれるようになったと言われているが、ところによっては雛壇の供え物を強奪する例もあるようで、実際に雛人形を荒らす輩がいたのではないかとの説もある。

あくまで供え物を貰い歩く行事としての「雛荒らし」。言葉のままに理解して、人の家で荒れ狂うのは大変迷惑なので止めておこう。
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