時々、私は『SMグッズのエピキュリアン』で働いている。働いているといっても、床の掃除をするくらいであるが。掃除をすると、お駄賃としてガリガリ君(リッチも可)を1つ買ってもらえるのだ。
そのため、私は“エピキュリアンの掃除大臣”と呼ばれている。
そんなある日のこと。エピキュリアンの社長から、「すあま君も試しにボールギャグを作ってみたら」と言われたのである。私が見よう見まねで作ったボールギャグは、エピキュリアンの緻密な製品とはほど遠い、粗雑な作りになってしまった。
実をいうと、私が子供の頃に憧れていた職業は、モノを作る職人であった。もともと、手先は器用な方である。ただ、通知票に「興味があることには熱心だが、興味がないことは何もしない」と書かれ続けた私のことである。普段から頭のない抱き枕と暮らしていると、首から上の責め具であるボールギャグには、まったく興味がなくなるのだ。
私が作ったボールギャグを見たエピキュリアンの社長は、「これは職人が作った製品じゃなく、小学生が作った工作だ」と言った。
その日以来、私は“エピキュリアンの工作員”と呼ばれている。
そんな工作員の私でも、真面目にモノを作ったことがある。それが、エピキュリアンの『SM魔女狩り審問会』という映像作品で使用した拘束具である。常々、日本のSMは、海外のSMと比べて格好よさが足りないと感じていた。海外のSMはファッションになるが、日本のSMはファッションにならない。全裸に亀甲縛りだけで街中を歩いている人など見たことがない。
別に、SMに格好よさが必要である訳ではないが、日本にも格好よいSMがあってもよいのではないか? そんなことを考えながら、エピキュリアンの社長と共同で、コルセットなどの拘束具をデザインし、制作を開始したのである。
しかし、私はコルセットの現物に触れたことも見たこともなかった。写真で見たイメージだけで、制作する拘束具のデザインを描き、型紙を作製した。また、事前に女優さんのサイズ合わせができればよいのだが、なにせ入れ替わりの激しいAVの世界である。せっかくピッタリのサイズに作ったとしても、撮影の時には女優さんがすでに引退していた……などということも考えられる。そのため、ある程度のサイズ調整ができなければならないのだが、伸縮性がない素材である。
様々な問題を抱えつつ、試作品のつもりで拘束具作りを行なっていた。
すると……
案外、簡単にできちゃいました!!
とはいうものの、そこはエピキュリアンの商品である。細部にまでこだわっている。女優さんがケガをしないよう、端部の処理などには細心の注意を払っている。また、強度が不足しないよう、デザインと一体になった補強も行なっている。金具の質感にもこだわっており、当初は鋳物の金具を使用する予定であったが満足できず、わざわざ高価なステンレス製の金具と取り替えたほどだ。
拘束具を作る上で、最も大変だったのは、意外に思われるかもしれないが、黒猫マークの運送会社への対応であった。なぜなら、コルセットの型紙作りや拘束具の試着のため、エピキュリアンの社長に裸になってもらい、私が拘束具のサイズや拘束感を確認しているときに限って、運送会社のお兄さんが工場へやってくるのだ。運送会社のお兄さんも、きっと驚いたことだろう。
そんなこんなで完成した拘束具がこちらである。
↑個人的に私が最も好きな写真。肉体美と拘束具の美しさが融合している。
↑写真はエピキュリアンの撮影に欠かせないカメラマンのN氏が撮影した。
実は、ここからが本題である。この『SM魔女狩り審問会』で使用したコルセットが、最新号の『マニア倶楽部』(三和出版)のグラビア撮影で使用されたのである。そして、これがそのグラビアである。
↑マスクはエピキュリアンの社長が制作したもの。私は首から上の拘束具に、まったく興味がない。
モデルは、鶯谷にあるSM倶楽部『変態白書』のあやね嬢。撮影は、あの杉浦則夫氏である。他にも美しいグラビアが掲載されているので、もしよろしければマニクラの『異常性愛の館』のページをご覧いただきたい。
実は私、このコラムにも書いたように、前号のグラビア撮影にはエキストラとして参加していた。そして今号では、拘束具の制作者として参加したのだ。杉浦則夫氏とすあまの関係は、切れずに繋がっていたのである。
このままいくと、来年には私が緊縛されているグラビアが、マニクラのトップを飾るかもしれない。
Special Thanks:三和出版『マニア倶楽部』編集部
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