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▼ 花嫁奴隷〜渚〜【53】

花嫁奴隷〜渚〜【53】


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「生贄おさな妻〜収集家の奴隷〜」(大洋図書)より
脚本=雪村春童
著者=芽撫純一郎

花嫁奴隷〜渚〜【53】

これが8月5日、午前8時の出来事である。

事件が発覚したのは、後手に縛られたまま屋敷を飛び出した渚が警察に駆け込んだ午前8時20分。
その後、警察はすぐに屋敷に突入し、地下牢の存在と竜二・竜也兄弟の遺体を発見した。
さらに数日して、渚の証言と竜也の遺した日記から、過去に殺害された9人の女の遺体が同宅の敷地内で掘り出された。

もし、竜也が渚に対して特別な思いを抱いていなかったら、また、極度の睡眠不足でなかったら(普段の竜也であれば兄に逆らうような真似は絶対にできなかったに違いない)、そして渚を繋ぐ縄が焼け切れるという偶然がなければ、渚もまた過去の9人の女たちと同じ運命を辿っていただろう。
そうなれば渚に続く新たな犠牲者も生まれていたに違いない。

筆者は一貫して、主犯である竜二の異常性と絶対悪を世に説く者である。
が、社会が悪い、幼少期から竜二をとりまいてきた環境が悪いとする有識者たちの分析も全否定するわけではない。

冷静な読者諸兄は、この事件のあらましから何を読み取ったであろうか。
いずれにしても、同じような事件の再発を防ぐ一助となれていれば幸いである。

(完)


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