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0302当世マゾヒスト列伝

マゾヒストとして生きる道を選択した男たちの物語 M男性におくる珠玉の電脳活字ワールド

レインコートの上から縛られたい「雨男」さんの巻 第10回
03.23 14:30更新

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文●松沢呉一
Text by Matsuzawa Kureichi

人間10人いれば、その風貌も性格も10通りあるように、一口にM男性といってもそのSM観、M嗜好は千差万別。マゾヒストとしてそれぞれが様々な思いを持ち、SMプレイにその人生の一部(あるいは全部?)を捧げている。
今回この連載にご登場願った「雨男」さんは、レインコートフェチ。正確に言うとレインコートを着た状態で、S女性に弄ばれたいという性癖の持ち主である。素肌にレインコートを羽織り、ボタンをぴったりと留め、今日も雨男さんは恍惚となる。

★頑固さは臆病さの裏返し

このインタビューを終わろうとしたら、彼は「もうちょっと話していいですか」と言って、今気に入っている女王様の話をし始めてとまらなくなった。レインコートに比べれば、ありがちな話なので、ここでは全部カットしたが、こうも語ることが好きなんだから、パーティやSMバーで仲間を見つけて思う存分語り合えばいいのに、男嫌いのため、M男仲間は一人もいないし、欲しいとも思っていない。

こういうM男さんも多いのだろうが、女王様を通さず、M男さん同士でコンタクトをとりあってパーティに行ったり、バーに行って楽しんでいるようなオープンな今時のM男さんたちを見ているために、彼の頑なさはもったいなくも思える。

たぶん彼のようなタイプがいたとしたら、若い世代になるとラバーに行ってしまうんだろう。話を聞いていると、快楽の質はかなり近いものがあるのだ。しかし、彼はまだラバーを体験したことがない。

「女王様にもやってみるといいって勧められるんですけど、私にとってはあれは違うんですよ」

この頑固さは臆病さの裏返しだったりもするんだろうが、やってもいないうちから「ダメ」「違う」とすぐに決めつけるのは悪い癖。レインコートが滅び行く現在、後半生のため、そろそろ別のものを見いだした方がいいと思う。

「全頭マスクはいいかもしれないので、お金を貯めてやってみようとは思いますけど」

あっさりハマるかも。

でも、最後のレインコートフェチ(かどうかわからないが)の座をこのまま頑固に守り続けて、一生結婚せずに妄想し続けて欲しいと思ったりもする。

この項終了(「スナイパーEVE」vol.7より再録/2002年11月頃取材)





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