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▼ 特選AVレビュー『復活 倖田梨紗 (h.m.p)』
発売日:2013年5月3日 品番: hodv20869 収録時間:180分 定価:2.980円(税込み) メーカー:h.m.p

文=まな



2005年5月にAVデビュー、ギャル系のルックスとキュートなキャラで、一躍トップアイドルの座に躍り出た倖田梨紗。
倖田は、母子家庭で祖父母に育てられ、16歳で傷害・恐喝罪で鑑別所に入り、19歳でAVデビュー。
約2年半の活動後にAVを引退し、数々の男性と浮き名を流しながらも、2009年に覚醒剤取締法違反で逮捕され、福島刑務支所に2年間服役。
そして出所直前にあの東日本大震災が起こる......と、もうこれでもかというぐらいスキャンダラス&ドラマチックな人生です。
そんな彼女の5年ぶりの復帰作である本作は、AV黎明期の先駆者・豊田薫、ハメ撮り職人・カンパニー松尾、若手の実力派・嵐山みちるという、一流の監督陣によるオムニバス作品。
さらにAV復帰は今回限り、という大変スペシャルな一本になっています。

まず最初は、豊田薫監督の作品から始まります。
真っ白な刑務所セットの中で、檻越しに福島刑務支所服役中の生活について語る倖田。
福島刑務支所というのは女子専用の刑務所で、倖田は主に懲罰房や保護室の清掃や、一緒に服役していた女性たちの世話係をしていたとのこと。
中には壁にウンコを塗りたくる人もいたらしく、その後片付けもしていたとか。
お菓子を食べられるのは月に一回500円分のみ、眉毛を抜くのは懲罰の対象、と生活の制限も厳しく、そのストレスからかほとんどの服役者が生理がこなくなってしまう......ということを淡々と語る倖田。
うーむ、やはりそうとうハードな生活ですね。刑務所なんだから当たり前といえば当たり前ですが......。
しかしそんな2年間の刑務所生活も決して無駄ではなく、むしろ自分の人生にとってプラスになった、と明るく笑いながら語る倖田。
この彼女の、気の良いヤンキー特有のネアカっぷりがいいんですよねぇ。

インタビュー後、ソファに寝転がる倖田に「普段のオナニーを見せてくれ」と言うと、スマートフォンを観ながらクリトリスをいじり始めます。
動画の読み込みが一番早いサイトを観て、挿入よりフェラ・クンニシーンを好んでオカズにしているという倖田。
ちなみに筆者は倖田梨紗と同じ1985年生まれの女性ですが、それ以外には一切共通点はなさそうだな......と思っていましたが、彼女のこのオナニー話を聞いて、ものすごくシンパシーを感じました。
人生経験ハードだけど性的嗜好は意外にソフト、ってなかなか良いギャップですよね......。
オナニーでイッた後は、男優が入ってきて彼女の好きなクンニ・フェラプレイに突入。
この男優がなかなかMッ気たっぷりな人で、倖田にアナルを舐められると自らチングリ姿勢になって「もっとぶち込んで欲しい」と要求してきたりして、M男好きな筆者的にはグッときました。
次のパートは、先ほどとは打って変わって、首輪で繋がれた倖田と中年S男性のソフトSMプレイ。
バックを中心としたさまざまな体位での挿入に、スパンキング、イラマチオ、ビンタ......とやっていくのですが、どうも倖田はそんなにMプレイが好きじゃなさそうなので、正直このパートはピンときませんでした。

二番目は、嵐山みちる監督作品『チェーン・ラブ』。
嵐山みちるといえば、前作『日常 神谷まゆのリアルな生活を覗き見することができたなら』でブレイクした、現在注目度NO.1の若手監督。
前作では繊細な映像美と女性視点に立ったリアリティのあるストーリーで、女性視聴者からも熱烈な人気を集めましたが、本作もその細やかな作り込みが活かされた作品に仕上がっています。
倖田は現役AV女優時代、人気イケメンAV男優・しみけんと交際しており、今回はそんな元恋人の二人が当時のことを振り返りながら、再会し身体を重ねる姿を映していくという、大変ナマナマしいセミドキュメンタリーになっています。
寂しがり屋で、物心ついた頃から彼氏を切らしたことがない「チェーン・ラブ」を繰り返していた倖田は、しみけんとの3カ月間の交際中にも次の恋人ができてしまい、彼には別れさえも告げず姿を消してしまった......と語ります。
そんなわだかまりもあり、今回の撮影は両者ともかなり緊張していたようですが、いざ再会するとすぐに打ち解け、笑い合いながら当時のことを語らう二人。
しかし今度は逆に、交際時の素の部分がむき出しにされることで、これから撮影するセックスシーンに緊張してしまう二人。
あの百戦錬磨のしみけんが「恥ずかしい」「コレ無理かも」と赤面して動揺する姿には、めちゃめちゃ萌えてしまいましたよ。
また本作のセックスシーンで倖田は、本名である「(菊地)有紗」のほうで呼ばれ、本人も自称しているため、現実と虚構が混じり合って、本当に自然な恋人同士のセックスに仕上がっています。
やわらかい朝の光が差し込むベッドで水を口移しで飲ませ合う二人、という『日常』を彷彿とさせる場面もあり、まさにこれは菊地有紗(倖田梨紗)としみけんの恋人時代の「日常」だなぁと思わせるセックスでしたね。
後半のセックスシーンでは「有紗が他の男の人のこと好きになったらどうする?」という台詞を倖田に言わせるなど、さらに現実と虚構の区別がつかなくなるような演出がなされ、二人のラブラブセックスが終わった後には、「ケンちゃん、ごめんね」と、思わず虚構の世界を破って素の言葉が漏れてしまう倖田に、微笑むしみけん。
いやぁ、本当に見事すぎる演出ですね。
また、一番最後にしみけんが楽屋で漏らす、「お前らのノロケなんか観たくねーよ、って思われるんじゃないか」という不安に対しての嵐山監督の返しは、本当にすばらしくて感動しました。
個人的にものすごく感動したのであえてここには書きませんが、「この人がいる限り、AVに未来はあるな」と思わされましたね。

最後はハメ撮りの第一人者・カンパニー松尾監督の作品。
いつも通りの、女優と地方に旅に出て、ご飯食べて、セックスするという流れなのですが、今回は当然のように、倖田が服役していた刑務所のある福島を訪れることに。
福島刑務支所を前に、東日本大震災の時の話、覚せい剤をやっていた時の話などを赤裸々に語る倖田。
印象的だったのは、「もうクスリはやりたくない?」という松尾監督の問いに、「やりたくない。今の私は、周りにいてくれる人に恵まれていて、本当に今が生きてる中で一番幸せだから」とキッパリ答える倖田の言葉。
彼女が今回一本限りのAV復帰を決意したのも、AV女優「倖田梨紗」の名前を汚したまま逃げたくはない、という自分自身へのけじめをつけるためだと言います。
それだけAVの仕事には思入れがあったという、倖田の最後を飾るセックスシーンは、とても彼女らしい自然体のセックス。
ベッドに入ると布団を頭からかぶって恥ずかしがったり、でもちょっと触られるとビショビショに濡れちゃったり、と本当に至ってふつうの女の子。
自分から「今ビショビショになってるかも」と言ったり、挿入されてる時に自分でクリトリスをいじっちゃったり、と飾らないキャラクターが最後のセックスでもしっかり出ていましたねぇ。
そしてすべてが終わった後、「何かに依存するんじゃなくて、自分に自信を持ちたいけど、どうすればいいのかわからない」と漏らす倖田に、「もっと根拠なく自分を信じて、自分を大切にすれば良いんだよ」とやさしく語る松尾監督。

波瀾万丈な人生を歩んできた倖田梨紗にまつわる3本の作品は、それぞれ単なるAVの枠には収まりきらず、人生哲学にまで踏み込むような内容になっていて、AVを観たというよりは、彼女のドキュメンタリー映画を観たような感覚でした。
こんな重厚なAV作品は最近なかなかないと思うので、ぜひ普段はAVを観ない層にも観てほしいと思いました。


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