監督:ヘンリー塚本
発売日:2011年2月13日
品番:AOFR-004
収録時間: 114分
定価:4980円
メーカー:FAプロ
文=淫語魔
FAプロには定番のジャンルがいくつかあるわけですけど、そのなかでも特に異彩を放っているのは「収容所」を舞台にしたものと、この「戦場」シリーズあたりじゃないでしょうか。他のメーカーでも作られてはいるのでしょうが、レンタル店・アダルトショップなどで比較的見つけやすいものとなるとFAプロぐらいしかない。まさにFAの独壇場といっていいと思います。
そのFAプロでも初期の頃にリリースされ、今回VHSテープを元素材にデジタル・リマスタリング、FAプロ創立25周年を記念して「Age of FAシリーズ」の一作として作られたのがこの「Age of FA 戦場エロス」です。収録されたのは「三匹のけもの 淫獣死すべし」(1990年)、「戦争犯罪 脅迫を以て情交に至る」(1991年)の2タイトル。「戦場ポルノの第一人者、ヘンリー塚本監督の熱情こもる代表作をリマスター復刻」というだけあって、それぞれなかなか見ごたえがあります。
出演女優は遠藤由真、宮沢陽子、青木園子。そして男優には20年前の小沢とおる、花岡じったが登場します。いやー2人とも若い。花岡じったなんて今のふてぶてしい感じがありません。表情があどけなく演技が青臭い。なんかカワイイです。
さて肝心の中身なのですけど、まずちょっと粗さが目立ちます。
2話目の「戦争犯罪 脅迫を以て情交に至る」は、スパイ容疑で捕まった女2人が日本軍の小隊、5人の兵士にいいように陵辱される話なのですが、時代考証が今ひとつ甘いようです。
たとえば途中、野球拳で裸にするエピソードがあるのですが、野球拳が脱衣ゲームとして定着したのは戦後だったのではないかと思ったり、ロケ場所がコンクリの廃屋なのですが窓が明らかにアルミサッシで、天井を見上げると蛍光灯の取り付け跡があったりと建物そのものにやや難がある。それでもまだこれぐらいはギリギリあり得るかもとは思ったのですが、どうにもぶち壊しなのが部屋の壁の落書きで、カラースプレーで「○○○(東京都下の地名)」「第十四期」「夜露紫紅」と書かれてある。
四つん這いにさせられた2人の女性が軍服を着たまま、日本の軍人たちに次から次へと後ろから突っ込まれていくのはとてもエロいシーンだとは思うのですが、壁にある「夜露紫紅」という文字が映りこんでしまうとさすがにちょっとつらいなぁと思いました。
内容的にはプロットもカラミもしっかりしています。日本陸軍の軍服を女性に着せさせて陸軍の軍人が犯すなんてなかなかマニアックな趣向ですよね。男たちも軍服のままで、中には背嚢を背負ったまま交接する男もいて、パラフィリアの要素が多分にある。
だからこそ、あの落書きは残念なんですよねぇ。
もっとも小生のお薦めは第1話の「三匹のけもの 淫獣死すべし」です。
この話も目をさらのようにして探せば粗がないわけではないのですが、そんなことはどうでもいいぐらい素晴らしい。いやこれは傑作、怪作、すごいの一言ですよ。
日本が敗色濃厚となった戦争末期。部隊からはぐれた3人の日本軍兵士が地元の人間を襲い、非道の限りをつくしています。ある日、この3人が地元女性の1人を追いかけ、全力疾走で逃げ惑う女を捕まえてそのまま土気だった野外で輪姦してしまいます。さんざん犯しまくったあと、そのなかの1人がもう一度、女を襲う。
ネタバレはしたくないので詳しくは書かないですが、このときとても尋常ではない状態でのセックスをするんですね。
男はこう言います。
「上等兵殿、どうせ地獄に片足突っ込んだ身じゃないですか。やらしてくださいよ!」
「よせぇ……」
「お2人さん、あっち向いててくださいよ。……やらしてくださいよ!!」
男と女を残し、少し離れて背中を向けたままたたずむ他の2人。
残された男は女の体に腰を打ち付け、快楽に身をゆだねる。口元はだらしなく開き目はうつろ。狂気の中のセックスを続ける。
すると離れていた2人が一緒に振り返り、人外のものとなった戦友の様子を窺う。
この2人が若き甲斐太郎と花岡じったなのですが、その表情がそれぞれなんとも複雑な顔をして、戸惑う視線を番っている戦友に投げるんですね。
思わずゾゾッときました。
30分ぐらいの作品なんですが、インパクトのある短編映画を見たような。
しばらく呆然としてしまいましたね。
単純にヌケるかヌケないかでいうと2話目の「戦争犯罪 脅迫を以て情交に至る」だと思います。出演女優の遠藤由真、宮沢陽子のふたりは体も肉付きがよく妖艶なカラミを見せてくれます。
でも心に残るのは間違いなく「三匹のけもの 淫獣死すべし」でしょう。
いや、これは強く人に奨めたい作品ですね。
エロくはないのかもしれないけど、エロスを描いていることだけは確かです。
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