文=横田猛雄
絵=伊集院貴子
第一課 ああエメロンよ
エメロンシャンプーは、『奇譚クラブ』、『風俗奇譚』の二誌のあった昭和三十〜四十年代には、浣腸薬として一番強烈な、あの武田薬品のドナンに、勝るとも劣らぬ優れ物として、一部の重症の浣腸愛好者に愛用され、このため「エメロン浣腸」という言葉まで生まれた程でした。
その頃も、シャンプー液としては、エメロン以外にも色々あり、そのどれを使っても、エメロンとほぼ同じような効果がありました。
本当は「シャンプー浣腸」と呼ぶべきなのですが、シャンプーといえば誰もがすぐエメロンを思い浮かべますので、皆がエメロン浣腸と呼んで、洗髪剤のシャンプー液をお尻の穴から入れて楽しむことを知っていました。
昭和三十八年、『奇譚クラブ』で初めてエメロン浣腸の体験告白を読んだ私は、シャンプー液なら石鹸の濃縮されたようなものだから、普通の石鹸浣腸をより強烈にした効果があるだろうと、直ぎ理解しました。
これはいいとさっそく試してみたのです。
東京杉並の、善福寺という池の端のアパートの畳の上で、一瓶の半分を注入したところ、たちまち入道雲が湧き起こって、今にも夕立ちが来そうな夏のように、お腹の中で雷鳴がとどろき始めたので、あわてて下駄を引っ掛けて裏の杉林の中にとび込み、ズボンを下ろすや否や、まだしゃがまぬ中腰のまま、シャアー、ピュウッと一直線でした。
そしてケッツの穴からは、蟹のようにブクブクと泡を吹いて......。
そのようにして私は二十代の初めに、エメロンの味を知ったのです。
(続く)
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