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▼ 欧米フェティッシュ・ジャーナル Fetish Journal:【25】続・下田旅行

文=アニエス・ジアール

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「S&Mスナイパー」本誌でおなじみの在仏カウンターカルチャー専門ジャーナリスト、アニエス・ジアール&フランシス・ドゥドブラー。親日家でもあるお2人が、世界のフェティッシュ事情をお届けします! 今月も舞台は前回に引き続き日本の下田。好奇心旺盛な2人が古びた宿で味わったエキサイティングな情緒とは……。


2009年6月22日、私とフランシス・ドゥドブラーは伊豆の美しい海岸景色を求めて下田を発った。

私たちがその日泊まった旅館はノスタルジックな雰囲気で、オーナー夫婦は年老いていた。女将さんが、2階で折り返しのある階段を静かに上がって3階の部屋に案内してくれた。女将さんも腰が曲がっていて、旅館はさびれていた。

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至るところに、埃っぽいガラスの箱に入れられた錦糸着物の日本人形や、石の置物といった年代物の調度品が置かれていた。茶色の絨毯は古く、これまた埃っぽく、使い古されたものだったけれど、昔は豪奢なものだったことが見て取れた。部屋のテレビは、70年代のものだった。ゴブラン織りを思わせる敷物の上に置かれた電話もまた、古いものだった。トイレなんかは、フランスのトイレのように紙で拭いてからでないと使えないようなものだった。

私はこの、どことなく懐かしく、さびれた雰囲気が気に入った。

テレビの横には、チチョリーナ(訳者注:70年代、80年代の有名なイタリアのポルノ女優。後に政治家へ転向)やその他欧米の女優が出演しているポルノビデオ(80年代初期の日付があるビデオテープ!)があった。この部屋で、数えきれないほどのカップルたちがセックスしたのだと想像した。ここでは、食事をし、ポルノビデオを鑑賞し、セックスし、雨だれの音を聞く他にすることは何もないから。この日、フランシスと私も、食事をし、愛を交わし、雨が降り続けるのを眺めていただけだった。

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そして時が静かに流れて行った。

私は老いというものについて考えていた。私だってすぐに、腰の曲がったおばあさんになる。2009年9月1日には40歳を迎えるのだから。そのことを思うとおかしくなりそう。

バイオレンス・テラピー(SM)が、私には必要なようだ。

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