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▼ 欧米フェティッシュ・ジャーナル Fetish Journal:【最終回】Department H 2099 『デパートメントH 2099』

文=アニエス・ジアール

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「S&Mスナイパー」本誌でおなじみの在仏カウンターカルチャー専門ジャーナリスト、アニエス・ジアール&フランシス・ドゥドブラー。親日家でもあるお2人が、世界のフェティッシュ事情をお届けします! 今回は、イラストレーターにしてドラァグクィーンであるゴッホ今泉氏が主催するディープなフェティッシュパーティ「デパートメントH 2099」の魅力を掘り下げます!! (この記事は2009年8月13日にWEBサイト「WEBスナイパー」に掲載したものを再編集の上で再録したものです)


2004年、私はゴッホ今泉と知り合って友人になった。それから何年も経て、私は夢にまで見たゴッホ氏のオーガナイズするフェティッシュパーティ『デパートメントH 2099』へ行くことになった。2009年7月4日土曜日、ついにその時が来た。私の通訳(兼翻訳者)の牡丹嬢に連れられて、会場に着いた。まったくもって素晴らしいパーティだった。

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そこには、私が長年会いたいと願ってきた人たちがいた。たとえば、中野貴雄。ベンジャミン・バルー(クロード・ルルーシュ監督『男と女』の音楽『シャバダ・バダ』を歌ったピエール・バルーの息子)のおかげで中野貴雄は、フランスではとても有名だ。ベンジャミン・バルーは中野貴雄をフランスに呼び、女相撲興行をオーガナイズした。中野貴雄監督の映像作品『Exorsister(邦題:女闘美(メトミ)ック・ファイト 肉弾バトル・ロワイヤル)』はフランスでリリースされた。

中野監督の作品に出演したカルト女優の一人、アムリタは定期的にフランスでキャットファイトのショウをしている。アムリタはまた、デモニア(フランシス・ドゥドブラーがオーガナイズするヨーロッパ最大級のフェティッシュパーティ)で鮮烈な縛りのショウを行なった。そういった訳で、フランスにはたくさんの中野監督ファンがいるのだ。

「デパートメントH 2099」で、中野貴雄は戦隊ものを思わせる女性レスラー同士のコミカルなファイティング(キャットファイト)ショウを見せてくれた。彼は、意地悪なネオナチのコスプレをしたとても美しい女性と一緒にこのキャットファイトの審判をしていた。私はその女性が中野貴雄の妻になった人だと知ってとても幸せな気持ちになった。

もう一人、私が長年尊敬していた男性に会った。犬病ぬこ氏だ。彼もまた、偉大なるアーティストだ。犬病ぬこは、アニメ顔のマスクをかぶって着ぐるみを着てアニメの女の子になり切る「ドーラー」を作った人だ。詳しくは彼のサイト 「ぬこ☆パン」にある。

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彼もまた、フランスではとても知られている。なぜならば、カルチャー番組で(着ぐるみではなく)素顔を見せたから。アニメ関係者はドーラーに圧力をかけてその存在自体を隠そうとするので、ドーラーの撮影が許可されるのはとても珍しいことなのだ。成人した男性なのに、アニメの美少女になり切っているドーラーは危険な人たちだと見なされている。

ドーラーは倒錯した変態だと思われているので、ティーンエイジャーが魅了される漫画と結びつけることを拒否するのだ。ドーラーは、忌み嫌われる存在だ。ドーラーが公の場に出ることは、社会通念上とても勇気のいることとされている。ぬこさんは、そういう理由で、とても特別な存在なのだ。彼は自分がドーラーであることを示す。情熱をもってして、非難を拒否するのだ。コンプレックスも、タブーも持ち合わせていない。

「デパートメントH 2099」は、ゲイやオタク文化を含む、ありとあらゆるフェティッシュなものを受け入れているパーティだ。特にオタクの新時代を切り開くものになると思う。オタクたちはこのことをもっと誇るべきだ。

自分のアイデンティティを誇示できる、この素晴らしい場所を。

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