文・コルセット製作=PureOne(P.C.W)
写真=winchrome
モデル・スタイリング=紅夜
男性のコルセット職人を「コルセティエ」と呼びます。フェティッシュ・アイテムとしてのコルセットにこだわらず、深い伝統と格式に裏づけられたコルセットを模索する新進気鋭のコルセティエ、「Pure One Corset Works」のPureOne氏。そんな彼が製作するコルセットを、写真とPureOne氏自ら語る制作秘話や解説などとともにご紹介する、フォトギャラリー連載です。
この連載では初めてとなる、デザイン性の高いコルセットです。
このコルセットを作る切っ掛けとなったのは、以前にもモデルで登場して頂いたトライバルデザイナー阿妓さんからのオーダー。
「生成りというか、薄いベージュ色のガーゼを使って、コルセットを作って欲しい。ガーゼは医療用に使う、ほんとに薄いやつで!」といった内容を電話で受けました。
今回は、そのサンプルの意味も含まれます。
阿妓さんを含め、この夏あたりから「生成りで作って下さい」と言うオーダーがたて続き、「これもまた流行りなのだろうか?」と感じました。
まずは実際こんな生地があるのかどうか分からないので、問屋や生地メーカーに問い合わせてみました。
しかし残念ながら、阿妓さんの期待に応えられるような生地はありませんでした。
そこで私は、ドラッグストアで医療用のガーゼを買い、紅茶で染めることにしました。
そして染め上がったガーゼを使って作ったコルセットが、これです。
ガーゼがボーンとボーンの間をまたがる形となるので、コルセットに不思議な一体感を感じます。
特にオーバーバストの場合、丈が長いのでガーゼの使用分量が多くなるのですが、やりすぎると若干クドくなりそうだったので抑え気味にしてみました。
今回モデルをして下さった紅夜さんは、バンドでボーカルをやっていらっしゃいます。
そこで私は、パンクロックなテイストのコルセットをガーゼを使用して製作するつもりでした。
パンクロックなテイストでコルセット。
やはりヴィヴィアン・ウエストウッドが頭をよぎりました。
まさしく漫画「NANA」の世界観です。
紅夜さんがバンドでボーカルをしていることを知った上で、細い体と力強い目を見ていると、映画で主演を演じた中島美嘉に通じる美しさがあるように思えました。
ただ、パンクロックテイストだからといって、安直に断ち切りを多用したデザインにはしたくありませんでした。
そこで、断ち端は出来るだけ隠す様にして製作しました。
結果としては、パンクロックとは真逆の非常にクラシカルな仕上がり。
紅茶で染めたガーゼも非常に品がよくまとまりました。
非常に困りました(苦笑)。
そこで私は、気晴らしに六本木で行なわれていた「ヴィヴィアン・ウエストウッド オーパス展」に出掛けました。
展示の内容としては、ヴィヴィアンの服を着た方々の写真展で、作品集発売を記念して行なわれたものでした。
私は自身をデザイナーではなく、職人としてカテゴライズしています。
しかしながら、こうやって写真展示を見ていると過去の様々なデザイナーからの影響も多く受けていることに改めて気付かされました。
「今までは温故知新を信条とし、職人達の知識や技術に対して敬意を払ってやってきた。しかしながら偉大なるデザイナー達からの影響力もある。ならば、現在に至る全ての服に対して敬意を払える作品を作りたい」
そう思いました。
家に帰ってから私は立体裁断に取り掛かり、ドレープを活かしたスカートを作りました。
体をガッチリ締め上げたコルセットにふんわりとしたソフトチュールを使用したスカートは、正反対のものだと思います。
真逆のものを一緒に取り入れることによって、より多くの人に服の楽しみを知って貰えたら!という願いを込めました。
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