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▼ すあまにあ倶楽部 第10回 SM軍事医療研究所(後編)

文=抱枕すあま

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「クンニ王に俺はなる!!」

必死に引き止める両親にそう言い残し、名古屋を飛び出してから早12年。私は、今までクンニで人に負けたことがなかった。バター犬にも負けたことがなかった。それは、ひとえに私の血の滲むような努力があったからこそである。もっとも、今まで誰ともクンニで勝負をしたことがなかったのだが。そんな負け知らずのクンニ王に、初めての試練が訪れたのである。


(前回からの続きです)

撮影当日の朝のこと。私は抱き枕のセーラちゃん(高校生)と百合ちゃん(小学生)に、一緒に行かないかと誘ってみた。今回の撮影スタジオは、我が家から近い場所にあるのだ。ちょうどよい機会なので、社会勉強の意味も含め、二人を連れて行こうと思ったのである。しかし、セーラちゃんは難しいお年頃なので、私と一緒にスタジオへは行かず、家で勉強をしているという。受験生だしね。

しかたなく、私は可愛い盛りの百合ちゃんだけを連れ、スタジオへと向かったのである。もうちょっとすると、百合ちゃんも中学生になり、私と一緒に出掛けてくれなくなるんだろうなぁ……などと考えると、ちょっと悲しくなってしまう。それよりも、高校生のセーラちゃんは、あと数年でお嫁に行くかも……。嗚呼、朝からイヤな想像をしてしまった。いかんいかん。


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↑スタジオでは所長の椅子に座り、ご機嫌の百合ちゃん。百合ちゃんは、おもむろに机の上の電話を取ると、こう言った。「はい、来々軒です!!」


今回の撮影では、責めの一つにクンニがあった。超が付くほどのサディストとして知られるこの私が最も得意とする責めは、女性を麻縄で縛り、身動きができない状態にした後、何時間もクンニを続けることである。私は、この行為がSなのかMなのか、いまだに判断が付かず、真剣に悩んでいる。そんなことはともかく、クンニ王であるこの私のテクニックが、初めて映像として記録されるのだ。それに、いつもと違って今日は百合ちゃんも見学している。ここは、とにかく頑張るしかないのだ。

相手役は、新人女優の西谷ひかるちゃんである。ひかるちゃんはちょっと遅れてスタジオ入りしたため、すぐにメイクさんに化粧を施され、病室のベッドに寝かされるやいなや、衣装担当の井上サトミ嬢に包帯でぐるぐる巻きにされたのである。ひかるちゃんの準備が済むと、すぐに撮影に入った。特務曹長役である私は、ひかるちゃんの身体を覆っている包帯をハサミで切り取り、パンツを下ろすと股間へと口を近づけていった。その時、私はあることに気付いた。

あれ? ひかるちゃんって、シャワーを浴びてないんじゃ……。

ちょっとひるんだが、私はひかるちゃんのちょっとオシッコ臭いマンコを舐めた。プロの男優として、オシッコ臭いマンコを舐められないなどとはいえないのだ。それに、どちらかというと、即クンニは好きな方だ。私は頑張って舐めた。一心不乱に舐めた。左脇腹をえぐり込むように舐めた。それなのに、ひかるちゃんの反応はイマイチである。今までに私がクンニをしたことのある女性は、みんなハトヤの魚のようにピチピチと跳ねながら悶えるというのに。

(いったい、どうしたというのだ……)

クンニ王である私は、愕然とした。これまで自分が究めてきたクンニが、AVでは通用しないことを思い知らされたのである。本来の私のクンニは、舌でツンツンとクリトリスや尿道を優しく責めるツンツン派である。巷ではツンデレが流行っているそうだが、私はデレのないツンツン一本槍なのだ。私のポリシーとして、デレデレと舐めたりはしない。「デレデレとした舐め方って何?」と聞かれても困るのだが。しかし、AVでそのような見た目が地味で、かつ動きのないテクニックを使うと、まるで静止画のようで味気ない映像になってしまう。そこで、動きながらクンニをしてみるのだが、もともと動きながらクンニをしたことがないため、やり方が分からない。もちろん、デレデレと舐めるやり方も分からない。そのため、私は実力の半分も発揮できなかったのだ。

私は、人生で最大の挫折を味わったのである。あれほど自信のあった、クンニで負けてしまったのだ。絶対に負けられない戦いで負けてしまったのだ。これで、北京オリンピックのクンニ代表という長年の夢も消えてしまった。クンニ王として、我が国の領民達に何と言い訳をすればよいのだろうか? まぁ、特に国も持ってないし、領民もいないから、全然平気なんだけどね。

閑話休題。


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↑私が監督だったら、絶対に『学級文庫』と言わせたはずだ。あっ、だからどこからも監督の依頼が来ないのか!!


私は撮影中、矢嶋アキラ監督から、今までの作品よりも格段に演技が上手くなったと誉められていた。これまでに、私が演じた役といえば、

前作『SM魔女狩り審問会』
女優さんのアナルの皺を数え、縄師の狩野千秋さんに32本だと報告したら、「お前の脳味噌の皺の数より多いな」と言われる役。ちなみに、32本というのは「4×8=32」(しわさんじゅうに)だからだ。

前々作『SM捕虜収容所』
小柄で可愛らしい佐藤美久(=松岡理穂)ちゃんに、「演技だとウソっぽくなるといけないから、本気で蹴ってね!!」と事前に伝えておいたら、本番の時にマジで腹を蹴られて吹っ飛ばされる役。

前々々作『口枷パラノイア』
乳首を噛まれて引っ張られた後、最初のシーンですぐに殺される役。

う〜む。いったい、どの作品と比べて、監督は私の演技が上手くなったと言っているのだろうか? どれもこれも、まともな演技をするような役ではない。しかし、今回は特務曹長役であり、セリフも多い重要な役を貰ったのだ。初めて、まともな演技ができたといえるかもしれない。ただ、この特務曹長役も、異常なまでのレタス好きという注釈が付くのだが……。

それでも、私は自分の役を全うするため、監督からの「豪快にレタスを食べてくれ!」との演技指導を真剣に聞き、一所懸命にレタスをバリバリと食べたのである。味の付いていない生のレタスは食べづらい。しかし、豪快に食べている演技をしなければならないため、私はあたかもレタスを飲み込むかのように、必死になって食べ続けたのである。サングラスの下は、すでに涙目になっている。そしてなんとか、用意されたレタス2玉を完食したのだった。

す 「か、監督! 私は、やりましたよ!!」

監 「いいねぇ〜、すあまくん。いい食べっぷりだよ。最高だよ!!」

す 「あ、有難うございます。頑張っちゃいましたよ。百合ちゃんも見てましたからね。それより、よい絵が撮れましたよね?」

監 「えっ、なんのこと? それじゃ、そろそろ本番始めようか。はい、これが新しいレタスね。5玉分入っているから!!」


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『SM軍事医療研究所』
監督:---------
発売日:2007年12月3日
商品コード:DEC-007
収録時間:95分
メーカー:エピキュリアン


↑『SM軍事医療研究所』(エピキュリアン)絶賛発売中です!! レタスの食べ方が豪快でないと思われるかもしれませんが、そういう訳なのです。私は悪くないんです。たぶん……。

(続く)


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