文=抱枕すあま
↑『R』へお越しの際は、『メンバーズみち子』と『メンバーズゆういん』を目印にすると、余計に分かりにくくなります。
『R』の入口のドアを開けると、バーカウンターが2つ並んでいました。21時頃に着いたのですが、もう既にカウンターの席は8割ほど埋まっていました。さらに、この日はレディースデイということもあり、女性のお客さんの割合も高めです。どうやら、スレイヴオークションは、かなり盛り上がるイベントのようです。期待に胸が高鳴ります。
空いていたカウンターの席に座ると、カードへの記入を求められました。東京のSM業界では、「知らない人は知らない」、「知っていても関わりたくない」といわれるほど有名なこの私ですが、名古屋ではまだまだ無名でした。しかたなくカードに名前などを記入していると、項目の中に性癖の欄がありました。私は迷わず『抱き枕系』と記入しました。
他のSMバーでも、このようなカードへの記入をよく求められるのですが、このように書くと、決まって「抱き枕系ってなんですか?」と聞かれます。しかし、抱き枕系の性癖を簡単に答えるのは、もの凄く難しいことなのです。
普通の枕にセーラー服を着せて、縄で縛ったり、鞭打ちしたり……。
だけど、徐々に愛が芽生えていって……。
今は、結婚を前提としたお付き合いをしていて……。
こんな説明で、誰が私の性癖を理解できるというのでしょうか? 私だって、自分自身の性癖が理解できないのですから。なので、いつも説明が億劫になってしまい、まともな説明もせず、お茶を濁してしまうのです。まぁ、抱き枕系の性癖について、事細かに6時間くらい説明したとしても、それはそれで相手は困ると思うのですが。
そんな訳で、せっかく『R』の椿さんが聞いてくれたのに、私は徐々に無口になってしまいました。ごめんなさい、ごめんなさい……。
私は人見知りが激しいので、すぐに心に壁を作ってしまうのです。初めて合う女性と話すのは、最も苦手とするところです。しかも、それが美しい女性だとしたら、なおさらです。それに、私の心の壁は、ヤンキー兄ちゃんに落書きされたり、ネコ除けのペットボトルを置かれたり、ヨッパライに立ち小便されたりして汚れているため、心の壁さえも隠してしまおうとするのです。
こんな人見知りの私ですが、年に1〜2度、妙にハイテンションになることがあります。こんな時は、初めて合った女性に、自分から声をかけてしまったりするのです。以前、ある縄師の方のバーへ行ったとき、近年まれに見るハイテンション状態でした。焼酎9にウーロン茶1という割合の異常に濃いウーロンハイを飲んでいたためかもしれません。
いつもの仲間と楽しく飲みながら騒いでいると、隣の席に座っていた女性が、時計を気にしながら、縄師さんを潤んだ瞳で見つめているではありませんか。どうやら、縄師さんに縛ってもらいに来たのに、この縄師さんが別のお客さんと話し込んでいたため、なかなか縛りをお願いするチャンスがなかったようなのです。こんな時、ハイテンションな私が黙っている訳ありません。さらに悪いことに、私の頭の中に住んでいる、最強のお節介オバさんキャラが姿を現したのです。
す「○○さんに縛って欲しいのでしょ?」
女「えっ!? で、でも、いいんです……。○○さん、お忙しそうだし……」
す「だけど、もうすぐ終電ですよ。せっかく来たのだから、縛ってもらえば?」
女「い、いえ、いいんです……。ほ、本当にもう、いいんです……。そ、そんなつもりで来たんじゃないのですから……」
す「だって、さっきから時計を気にしているけど、もうすぐ終電でしょ? 早く縛ってもらわないと、帰れなくなりますよ」
女「い、いえ、ほ、本当にそんなつもりで来たのではないのですから……。べ、別に、し、縛ってもらわなくても……」
す「そんな、遠慮せずに! すみません、○○さん!! 彼女を縛ってあげてくれませんか? もうすぐ、終電なんだそうですよ!!」
女「あっ、そんな……。は、恥ずかしい……。だ、だけど、お、お願いします……」
そういうと、その女性は着ていた服を脱ぎ始め、下着姿になりました。その下着は、真っ赤でとってもSEXYなものでした。私は思わずこう叫んでしまいました。
す「お前は上島竜兵か!!」
翌日、酔いが覚めてから、暴言を吐いてしまったと反省しました。初めて会った女性に対して、大変失礼なことを言ってしまったと。でも、どう考えても、この女性は縛られる気満々だったのだもの。プールサイドに立って、「押すなっ!」と言っているようなものでしょ?
さてさて、話を元に戻して、今回名古屋に来た最大の目的であるスレイヴオークションなのですが……。実は、オークションが始まる前に、帰ってきてしまいました……。だ、だって、すでに22時半を過ぎていたのですよ!! 良い子は、もう寝る時間ですよ!! それに、これから実家に帰るというのに、あまり遅く帰ったら、ママに怒られちゃうのだもの。いま履いているガラスの靴だって、0時を過ぎるとカボチャの靴に変わってしまうのですから。
そんな訳で、スレイヴオークションに興味のある方は、名古屋の『R』まで実際に足を運んでみて下さい。2ヶ月に1度の開催だそうです。そして、どんなイベントだったかを、是非とも私に教えて下さいね!!
そうそう、実家に帰ってママと話をしていたとき、衝撃の事実が判明しました。私が中学生の頃、よく通っていたあの古本屋のお婆さんと私のママは、昔からの友達だったそうなのです。そういえば昔、中学校の制服を着て、名札を付けた状態でSM雑誌を買いに行ったことがありました……。しかも、私の名字は非常に珍しいので、どう考えてもどこの子だかバレてたはずなのです……。あうあう……。
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