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▼ 花嫁奴隷〜渚〜【1】

花嫁奴隷〜渚〜【1】


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「生贄おさな妻〜収集家の奴隷〜」(大洋図書)より
脚本=雪村春童
著者=芽撫純一郎

花嫁奴隷〜渚〜【1】

竜二は醜い男だった。

小学生時代からのあだ名は「蝦蟇(ガマ)」。資産家の長男であり、中にはすり寄ってくる者もいないではなかったが、多くは竜二のネチネチとした性格に恐れをなしてすぐに去っていった。

ひとたび竜二の機嫌を損ねた者は、必ず何らかの厄災に遭う。

竜二が小学校六年生の頃、クラスの担任だった三十代の女性教師は、トイレでの排泄姿を一カ月にわたって盗撮された挙句、その写真を学校中にバラまかれた。

理由は理科の授業中にカエルについての質問を竜二にしたからだとクラスメイトのうち何人かは疑っていたが、告げ口をする勇気のある者はいなかった。

竜二の報復を予感し、恐れていたからである。

たとえ証拠はなくとも、「あれは竜二の仕業に違いない」という事件がそれまでに何度も起きていた。

竜二と口論をした少年が学校帰りに何者かの手で用水路に突き落とされ、危うく命を落としそうになったこともある。また、竜二に好意を持たれた女子生徒は何らかの盗難に遭うという噂もクラスメイトの間ではほぼ事実として語り継がれていた。

盗まれる物はたいていスクール水着やパンティ、時には使用済みの生理用ナプキンなど、性が絡んだ恥ずかしいものばかりである。

なぜ汚物入れに捨てたナプキンが「盗まれた」と騒がれるのかと言えば、その現物が、しばしば透明な精液の付着した状態で本人宅の玄関先に投げ込まれていたからだ。

いずれの場合も竜二には完璧なアリバイがあり、「子供のすることではない」という先入観からも大人たちの追及の目が彼に向けられることはなかった。

ただ、竜二の周囲の子供たちだけが鋭い直感を働かせて、噂話のレベルで彼の正体を叫び続けていたのである。「蝦蟇」という悪意のこもったあだ名が自然発生的に生まれたのも、竜二のルックスより以前に、彼から滲む粘着性や不気味さが周囲の少年少女たちを本能的に怯えさせていたからに違いない。

(つづく)


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