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▼ 花嫁奴隷〜渚〜【2】

花嫁奴隷〜渚〜【2】


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「生贄おさな妻〜収集家の奴隷〜」(大洋図書)より
脚本=雪村春童
著者=芽撫純一郎

花嫁奴隷〜渚〜【2】

ここからは、彼がその後に起こした、ある深刻な事件の具体的な検証になる。

どこからを始まりとするかは意見の分かれるところだと思われるが、筆者は竜二が先天的に人間性を欠いた怪物だったという説を推したいがため、さわりとして彼の小学生時代のエピソードをまず記した。

しかし、有識者の中には彼が中学二年生の時に両親を交通事故で亡くし、若くして莫大な遺産を手にしたことを事件の発端とする者もいる。

確かに、まったく働く必要のない環境は、彼を世間の規範から決定的に切り離した。それが彼の人生から更生の機会を失わせたことは事実だろう。

だが、この説を推す有識者の多くは、彼だって好んで忌み嫌われていたのではなく、むしろ健全なコミュニケーションの仕方を学ぶ機会を得られなかった悲劇の犠牲者なのだと、彼を庇う。

筆者はそこに無責任な傍観者の甘さを感じずにはいられない。

彼が一度も傷ついたことがないかと言えば、もちろんそんなことはないだろう。

40年間、一人の友達もなく、恋人もなく生きてきた彼が、寂しさに涙をこぼしたことがなかったかと言えば、そんなこともないだろう。

しかし、世の中にいる傷つきやすくて寂しい人間が、皆このような事件を起こすのだろうか。

一般論だけで彼を語り、事件を忘れ去ってしまうことは危険であり、事実を伝えたことにもならないというのが筆者の考えである。

さて、早速事件を振り返ってみたいと思うが、その前にもう一人、紹介しておかなければならない人物がいる。

(つづく)


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