花嫁奴隷〜渚〜【3】
竜二とは三つ歳の離れた、竜也という男がいる。
顔は似ていなかったが竜二の実の弟である。
彼は一見、人畜無害で大人しい人間に見える。子供のころからそうであり、周囲の大人は誰ひとり、彼を問題児として見たことがなかった。
そればかりか「もっと自己主張すべき」「存在感が薄い」というのが当時の通信簿に記載された彼のおおむねの評価であり、竜二とは別の意味でクラスから浮いていたようである。
この二人の違いはどこから来るのか。
竜二の弟である以上、育った環境は竜也も同じと考えられるのだが、強烈な個性を持つわがまま放題の兄が弟に対しても独裁者として君臨し、支配下に置いてきたと考えれば辻褄は合う。
言うなれば、彼は竜二の第一の犠牲者だったのではないか。
クラスメイトの口を恐怖で黙らせてきた兄である。最も身近にいる弱者に対して、どうふるまっていたかは想像に難くない。
事実、竜也はこの後に語られる事件にも密接に関係しているのだか、それは兄・竜二の命令によるものであった。幼少期から竜二の支配下に置かれてきた彼には、「逆らう」という概念すら持ち得なかったのではないかと筆者は考えるのである。
(つづく)
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