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▼ 花嫁奴隷〜渚〜【4】

花嫁奴隷〜渚〜【4】


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「生贄おさな妻〜収集家の奴隷〜」(大洋図書)より
脚本=雪村春童
著者=芽撫純一郎

花嫁奴隷〜渚〜【4】

ここで、小学生時代に竜二が関与していたと噂される幾つかの事件を思い出してもらいたい。

被害に遭ったのは竜二の機嫌を損ねた者たち、竜二に好意を持たれた女子生徒たちである。
そして竜二には常に完璧なアリバイがあり、実行は不可能だったとされている。

しかし、当時の大人たちは考えてもみなかったことだが、もしも彼に共犯者がいたとしたらどうだろう。つまり指示を出したのが兄の竜二で、実行に移したのが弟の竜也だったとしたら……。

筆者はもはや、証明の必要性すら感じていない。

なぜならば今回の事件がそれとまったく同様の形で起きており、且つ、その結末が竜二と竜也の関係性のすべてを物語っているからである。

ここではただ、事件の始まりが竜二という怪物の誕生にあり、彼が竜也という傀儡を得たことで深刻化したのだとする筆者の立場を改めて強調するにとどめておきたい。

以下は警察の調べと被害女性の証言、また、竜二・竜也兄弟の住む屋敷で見つかった竜也の日記から、今回の事件のあらましを組立て直したものである。


日付は去る8月2日、記憶にも新しいあの嵐の夜から書きだすことにする。
時刻は午前3時20分。

竜二40歳、竜也37歳の夏であった。

(つづく)


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