作= 鬼堂茂
【12】脅迫・3
「言うまで、こうしてやる」
竹野の瞳はギラギラと野獣のように光り輝いている。ライターの炎を大きくして、秋子からよく見えるように、ビーナスの丘に火炎を近づけていく。まだ生えかけの翳りが焦げて、煙といっしょに異臭を放つ。
秋子の瞳が恐怖に見開かれ、視線がライターの火炎に注がれる。悲鳴を肺から絞りだそうとするが、歯がガチガチ鳴るばかりで、どうしても声が出せない。さらには全身が小刻みに震え、ビーナスの丘の周りの皮膚がピクピク痙攣を繰り返す。
火炎が翳りといっしょにビーナスの丘まで炙ろうと揺らめいた時、秋子の太腿がピーンと硬直した。
「い、言う、言う......。何でも言う。何でもする......みんな、あっ、あげる......」
もはや発狂寸前の絶叫を上げ、秋子は谷間から小水を漏らした。シーツに世界地図を描く。
「汚ねえなあ」
そう言って、ビーナスの丘を舐めるようにライターの火炎を浴びせた。皮膚が焦げないまでも、耐え難い熱さが秋子を襲った。
細い体が感電したようにビリビリと震える。
「俺の言うことをきくか」
ライターの炎をビーナスの丘から遠ざけて竹野が言った。秋子は苦痛に歪んだ顔をガクガクさせて頷いた。
(続く)
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