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▼ 恭子ちゃんの淫らな散歩【1】
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告白=小泉博敏(仮名)


『S&Mスナイパー』誌に登場したグラビアモデルをヒロインにして描く「パンティプレゼント応募小説」。1983年に何度か行なわれたこの懸賞企画の当選作品とは……。本作はモデル・石田恭子嬢をイメージしてファンタジックなプレイ模様を展開させたポップで楽しいSM小説。1983年8月号に掲載された全編を再編集の上で全13回に分けて掲載していきます。


【1】マゾ女恭子

一応ひととおりの責めはしてみたのだが、どうもしっくりいかない。何故なんだろう? ボクは思わず腕組みをしてしまった。今、ボクの目の前には、一個の、緊縛された裸の女体が転がっている。

山本恭子、19歳。

すんなりと伸びた、きれいな体をしている。しかし、なんとも無表情である。顔ではない。体のの全体に感情がない。毛のない陰部が、余計に白々しさを掻き立てる。

本来、彼女をSMプレイのパートナーとした目的は、この、ツルツル、スベスベの魅力に取り憑かれたからに他ならない。それが白々しく感じられるとは、全く、どうしたことなんだろう。


要するに、途中から気が乗らなくなってしまったのだ。ボクもついにヤキがまわったのかな。

その原因として、一つ考えられるのは彼女があまりにも従順でありすぎることである。従順というよりは、全くの無抵抗であることだ。

彼女は、彼女なりに、ボクに協力してくれている努力はよく判る。でも、たとえば緊縛しようとした時に、ボクがする前に彼女のほうが先に両手を後ろへ廻してしてしまっては、縛る興味だとか強引に緊縛する征服感、というようなものは湧いてこなくなる。さあ、縛って下さい……と、先を行かれたのでは、縛りたくなくなってしまう。緊縛写真のモデルならばいざ知らず、こっちは写すことよりもプレイすることが目的なんだから。

でも、恭子は自分から積極的にSMの中に飛び込んで、それなりに快感を味わっているようである。半ば開いた唇からは、荒い息づかいに交じって、時々、甘い吐息が洩れるし、覆うもの何ひとつない陰部の割れ目に、一条の粘液が絡みついたりしている。彼女が気持ちよくなっている一方で、こっちが一向に乗れないでいるというわけだ。

もう一つ考えられることがある。それは、この、スベスベ、ツルツルである。

そこに毛があることは常識なんだから、あるべきものがなければ奇異に感じられる。たしかに恭子のそこは奇異な感じである。奇異というよりも、最初は美しさを感じた。すばらしいと思った。でも、飽きるほど、見たり触ったりしている中に、“美しさ"は“卑猥"に変化し、ついにはグロテスクに感じられるようになってしまったのである。

ボクはパイパンに憧れていたし、剃毛の趣味も充分もっている。しかし、恭子はパイパンではないのだ。元々の無毛ではなく本来あるものを剃り落としているだけにすぎない。だから、パイパンとは違うのである。その上、彼女は自分で剃っているから、ボクには剃毛の楽しみもないのである。

どうやら、理由はこの辺にあるらしい。

美しく縛られるように協力する、性毛が見えてはまずいから剃る……。これ、すべてフォトモデルとしての彼女の職業意識からきているのだ。

そうなんだ。恭子は、モデルとしてボクの前に居るんだ。彼女はモデルとして協力してくれている。しかし、ボクが求めているのはモデルの恭子ではなく、マゾ女としての恭子なのである。
(続く)


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