告白=小泉博敏(仮名)
【2】メンソレータムで肛門を…
「ごめんなさい。アタシ、慣れてないもんですから……うまくできなくて……」
ボクの浮かぬ顔を見て、恭子は申し訳なさそうに呟く。
「いや、そんなことはない。あなたが悪いんじゃない。ボクがいけないんだ」
ボクは優しく言ったつもりだったが、彼女には随分厳しく受け取れたらしく、目頭が光ったかと思うと、一条の涙が頬を伝わった。
「SMのお仕事って、むつかしいんですね。アタシ、プロのモデルなのに、先生の意欲をそいでしまって……モデル失格ですわね」
恭子は、詫びた後、淋しそうに微笑んだ。
ボクは、可哀想になり、さっき考えていたことをすべて恭子に話してしまった。
そして、最後に結んだ。
「恭子ちゃん。君は今、モデルじゃないんだよ。ボクと一緒にプレイをするマゾヒストであってくれればいいんだよ。モデルという意識はやめてくれ。そう、モデル失格でいいんだよ。それからね、うまくやろう……なんて考えなくていいの。協力してくれるのはいいけど、いやなものはいや、痛い時には痛いなりの表現を、口なり、体なりでしてくれればいいんだよ。感覚に正直であれば、うまくないほうがいいんだ」
恭子が理解できたかどうかは判らない。しかし、より以上に懸命になっている姿がいじらしい。
「ね、先生。アタシ、最初からやります。縛り直して下さい」
無駄なことなので、やり直す気はなかったが、いずれにしてもロープは解かなければならない。
恭子は、縛られる時だけではなく、解かれる時もボクの先へ先へと気を回して、ボクがやり易いようにしてくれる。
ははん。恭子は、なまじSMの知識を持っているからいけないんだ。それだから先回りができるんだ。彼女に先回りされるようなボクのSMテクニックじゃ、たいしたことはない。だが……まあ、それはさておいて、ボクは、そこで一つの閃きを感じた。
そうだ。今までは恭子が持っている概念の中でのSMプレイだったからいけないんだ。彼女が全く予期しないプレイ、経験は勿論、考えたことも、聞いたこともないプレイをすれば、彼女が先回りをすることはできまい。
ボクは、そう気が付くと、もう一度……というよりは、改めて恭子を苛めてみたくなった。
ボクは、まず、恭子にアヌスバンドを締めさせることにした。
恭子を椅子に掴まらせ、尻を上げさせ、アヌスにメンソレータムをたっぷり塗り込んで、まだ犯されたことのない固くすぼまった菊の門を揉みほぐし、アヌスバンドに装着してある長く太い突起物にもメンソレータムを塗りつけて、彼女の肛門に押し込んだ。
さしたる痛みはなかったようだが、尻をよじってそれを受け入れる恭子は、汗をびっしょりとかいている。
(続く)
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