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▼ 読者告白手記「秘縄に濡れた女たち~ある引越し請負業者の可虐体験記」【1】

作= 山本浩一郎


引越し請負い業を始めたばかりの男に訪れた、願ってもない好機。以来、男はかつて想像したこともなかった淫楽の日々を送ることになる――。『S&Mスナイパー』1980年7月号に掲載された読者告白手記を、再編集の上で全14回に分けてお届けします。


【1】驚くほどの豪邸が俺の前に...

あんなことがなければ俺は一生SMなんてことに興味はもてなかっただろうなァ。

もちろん、俺はド助平人間で、女を見りゃ女高生であろうが人妻であろうが、見境いがないってなもんで、ずいぶん、カカアを泣かせたもんだ。

でも、よオ、女をふん縛って浣腸をやるなんてことは、一度だって考えたことはなかったよ。女を歓ばせるにゃ、オッパイとアソコさえ満足させればいい、って思ってたんだもんな。

俺がSMに目覚めたのは、今から10年ほと前のことで、俺が30歳になろうかってころだったんた。

俺はとにかくガキのころから勉強ってやつか大嫌いでさ、中学を出てからズーッと運送関係の仕事をやってきたんた。

そして、まがりなりにも自分で運送会社を持つことができたんだ。会社ったって、カカアと俺と、それから、俺のガキのころと同じように、できの悪い中学出の男が一人ってゆう小っちゃいやつなんだ。

主な仕事は引越しの請負いなんだけど、独立して初めて受けた仕事でSMに目覚めたのは、なにか、こう、因緑めいた話だよ。 なにしろ俺の引越し請負い業とSMとは、切っても切れねえ関係になっちまったんだからねェ......。

あれは......春だったかなァ、とにかく、10年前のことさ。まわりからはまだ早いって言われてたんだけど、他人に使われるのがイヤでさ、独立して初めての仕事がきて、さすがの俺も嬉しくてね、すっ飛ぶようにしてその家に行ったもんだよ。

俺のやっているような小っちゃな運送屋に頼むんだから、どうせたいした家じゃないだろうって思って行ったら、これが、ビックリするような豪邸なんだなァ。

――こりゃ、理由(わけ)ありだなア。

そう思ったよ、俺は......。

(続く)


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