作= 山本浩一郎
【1】驚くほどの豪邸が俺の前に...
あんなことがなければ俺は一生SMなんてことに興味はもてなかっただろうなァ。
もちろん、俺はド助平人間で、女を見りゃ女高生であろうが人妻であろうが、見境いがないってなもんで、ずいぶん、カカアを泣かせたもんだ。
でも、よオ、女をふん縛って浣腸をやるなんてことは、一度だって考えたことはなかったよ。女を歓ばせるにゃ、オッパイとアソコさえ満足させればいい、って思ってたんだもんな。
俺がSMに目覚めたのは、今から10年ほと前のことで、俺が30歳になろうかってころだったんた。
俺はとにかくガキのころから勉強ってやつか大嫌いでさ、中学を出てからズーッと運送関係の仕事をやってきたんた。
そして、まがりなりにも自分で運送会社を持つことができたんだ。会社ったって、カカアと俺と、それから、俺のガキのころと同じように、できの悪い中学出の男が一人ってゆう小っちゃいやつなんだ。
主な仕事は引越しの請負いなんだけど、独立して初めて受けた仕事でSMに目覚めたのは、なにか、こう、因緑めいた話だよ。 なにしろ俺の引越し請負い業とSMとは、切っても切れねえ関係になっちまったんだからねェ......。
あれは......春だったかなァ、とにかく、10年前のことさ。まわりからはまだ早いって言われてたんだけど、他人に使われるのがイヤでさ、独立して初めての仕事がきて、さすがの俺も嬉しくてね、すっ飛ぶようにしてその家に行ったもんだよ。
俺のやっているような小っちゃな運送屋に頼むんだから、どうせたいした家じゃないだろうって思って行ったら、これが、ビックリするような豪邸なんだなァ。
――こりゃ、理由(わけ)ありだなア。
そう思ったよ、俺は......。
(続く)
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