魂の暗部を狙撃するSM情報ポータル SMスナイパー
▼ 読者投稿小説「熱い花蜜」【2】

作= 鬼堂茂


SM雑誌のグラビアに載っているモデルは高校生時代に憧れていた同級生だった!? 実在のモデルを元に妄想を膨らませて描いた投稿SM小説。久しぶりの対面、握った秘密、そして密かに育んできたサディスティックな願望......。危険な再会の果てに行き着くアブノーマルな愛の結末は如何に。『S&Mスナイパー』1984年4月号に掲載された作品を、再編集の上で全13回に分けてお届けしています。


【2】計画・1

飛び石連休の三日間を、竹野は秋子の緊縛ヌード写真を見ながらオナニーに耽って過ごした。

(秋子のヤツ)

そう思うと、自然に手が下半身に伸び、自分の分身を握りしめる。

秋子は、高校時代、男子生徒に大変な人気があった。長い髪に、切れ長の瞳。スラリとしたプロポーション。どこを取っても文句のつけようがなかった。

竹野も、一時、秋子に想いを寄せたことがあった。しかし、受験勉強が忙しくなると、自然に秋子への片想いは心の隅に置かれたままになった。今こうして、秋子のヌード写真を眺めていると、忘れさられていた秋子への想いが、再び心の中にふくらみ始めた。

翌日、竹野は一日がかりで部屋の掃除をした。やっと掃除が終わったのは、夜の九時過ぎだ。整理された部屋は、まるで他人の部屋のように、竹野の眼に映った。竹野は電話の前に座り、引き出しの中をかき回して見つけた住所録を広げて、秋子の部屋のダイヤルを回した。

秋子は、高円寺に住んでいた。

「もしもし。市川です」

聞き覚えのある懐しい声が、受話機から聞こえてくる。

「あっ、秋子。僕、竹野」
「タケノ?」
「いやだな、判らない? ほら、高校の時、同級生だった竹野だよ」
「ああ、判った、判った。竹野君ね。お久しぶり。元気?」
「うん、元気だよ。秋子は?」
「私も、元気よ。どうしたの、急に、電話なんか掛けてきて」
「うん、実はね......あっ、その前に、この連休何処か行った?」

と、秋子に尋いてみた。

「うん、行ったよ。鎌倉に、お友達と」
「ふーん」

竹野は言いながら、どうせスナイパーに書いてあった、なんとかという男といっしょに行ったんだろうと想った。

(続く)


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