作= 鬼堂茂
【2】計画・1
飛び石連休の三日間を、竹野は秋子の緊縛ヌード写真を見ながらオナニーに耽って過ごした。
(秋子のヤツ)
そう思うと、自然に手が下半身に伸び、自分の分身を握りしめる。
秋子は、高校時代、男子生徒に大変な人気があった。長い髪に、切れ長の瞳。スラリとしたプロポーション。どこを取っても文句のつけようがなかった。
竹野も、一時、秋子に想いを寄せたことがあった。しかし、受験勉強が忙しくなると、自然に秋子への片想いは心の隅に置かれたままになった。今こうして、秋子のヌード写真を眺めていると、忘れさられていた秋子への想いが、再び心の中にふくらみ始めた。
翌日、竹野は一日がかりで部屋の掃除をした。やっと掃除が終わったのは、夜の九時過ぎだ。整理された部屋は、まるで他人の部屋のように、竹野の眼に映った。竹野は電話の前に座り、引き出しの中をかき回して見つけた住所録を広げて、秋子の部屋のダイヤルを回した。
秋子は、高円寺に住んでいた。
「もしもし。市川です」
聞き覚えのある懐しい声が、受話機から聞こえてくる。
「あっ、秋子。僕、竹野」
「タケノ?」
「いやだな、判らない? ほら、高校の時、同級生だった竹野だよ」
「ああ、判った、判った。竹野君ね。お久しぶり。元気?」
「うん、元気だよ。秋子は?」
「私も、元気よ。どうしたの、急に、電話なんか掛けてきて」
「うん、実はね......あっ、その前に、この連休何処か行った?」
と、秋子に尋いてみた。
「うん、行ったよ。鎌倉に、お友達と」
「ふーん」
竹野は言いながら、どうせスナイパーに書いてあった、なんとかという男といっしょに行ったんだろうと想った。
(続く)
上へ |
カテゴリ一覧へ TOPへ |
■広告出稿お問い合わせ ■広告に関するお問合せ ■ご意見・ご要望 ■プライバシーポリシー ■大洋グループ公式携帯サイト |