作= 鬼堂茂
【3】計画・2
「僕は、福岡に帰ってたんだ。そうしたら、杉本が遊びに来て、年末に忘年会を兼ねた同級会をやろうってことになっちゃってさ。その幹事に僕と秋子が決まった訳」
竹野は、考えていた嘘を言った。
「えっ、私が幹事に? 困ったな。同級会はやりたいけど、幹事は、あまりやりたくないのよね」
電話の向うで、秋子が困惑して言った。
「うん、僕もやりたくないんだ。でも、決まちゃったから、もう取り消せないしね」
「そうね、しかたないわね」
「それで、打ち合わせをしたいんだけど......いつがいい?」
「急な話なのね。うん、私は、いつでもいいよ」
「じゃあ、明日は?」
「うん、いいよ」
「それじゃあ、明日の午後一時、下北沢の改札口はどう!」
「うん、いいよ。下北沢の改札口に午後一時に行けばいいのね」
「じゃあ、待ってるから。お休み」
「うん、お休みなさい」
電話を切ると、竹野の腋の下は冷や汗に濡れていた。「これでよし」と微笑して、煙草に火を点ける。
秋子は高校時代と同じように、相変わらず言葉の初めに「うん」を付けていた。さの変わらない感じが竹野には嬉しかった。
バスに入り、念入りに体を洗った。石鹸をつけた指が、竹野の分身を洗い始めると、再び秋子のヌードを想い出し、タイルの上に仰向けになって、オナニーに耽った。
(続く)
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