作= 山本浩一郎
【3】運命のダンボール
その女の熊度があんまり変なんで、俺は最初に、「こりゃ、理由(わけ)ありだなァ......」って感じたものの根本が、このダンポール箱にあるような気がしてきてね、その女がトラックの荷台に積むとき、俺はワザと、揺れの激しいところに置いたんだ。
その女の家から引越し先のマンションまでの道筋は、俺の家の庭のように知りつくしているからね、俺は、途中、ワザと工事中の道路を走ってやったんだ。
すると案の定、ダンボール箱の脇に置いといたトランクが倒れて、ダンボール箱が破れちまったんたよ。
どんな荷物でも人が開けたのと、事故で開いちまったのとでは、その差がハッキリと出ちまうってことは、経験で知っていたから、俺はこんな面倒なやり方をしたってわけだ。
俺は使用人を助手席に残して、荷台のダンボール箱の中味を見に行ったんだ。
壊れたダンホール箱からは中味が半分以上飛び出ていてね、みんなきれいな包装紙で包んであったけど、そんなのは開けたと分かったところでなんとでも言いつくろえるからさ、俺は中を見たんだ。
その包装紙の中味か全部SMに関係があるものばかりだったんだよ。
貞操帯、ゴムのパンツにブラジャー、浣腸器にオマル、おとなのオモチャ......てなものがビッシリ詰まってたわけだ。
ド助平の俺はトルコ、ストリップはもちろん、エロ本のケンキューも怠りなくやってたもんだから、ダンボールの中味がなにに使われるか、ピンときたよ。
そして、「理由(わけ)あり」の意味も分かったってことだ。
(続く)
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