告白=愛沢芳香(仮名・32歳)
【4】便秘症の妻
妻は便秘症でした。最初は錠剤で事足りる程度だったのですが、服用し続けるうちに薬と馴れ合いになってしまい、ほとんど効かなくなっていたのです。
浣腸は嫌々ながら自分でやるのですが、下腹部が内側から冷やされるような悪寒がたまらない、などと贅沢なことを言い、そして我慢もしないうちに出してしまうものですから、肝心なものが出ないで浣腸液だけを流出させてしまうのです。
しばらくして、妻は浮かぬ顔でトイレから出て来ました。
「ひどいのか?」
妻はベッドにだらしなく腰を下ろし、ムスッとしたままでした。
「お前、トーストでも食べたらどうだ。上から押し込めば下から出て来るかもしれんぞ」
私がそう言うと妻は、ふてくされたように私の横に入り、背中を向けてしまいました。メンス中ですら決してイライラすることのない妻でしたが、便秘に苦しむ時だけは不機嫌になったのです。
「お腹撫でてやろうか?」
私は妻を仰向かせ、下腹を摩ってやりました。
そうするうちに私の欲望が目を覚まし、愛撫の手は下腹から少しずつ股間に下りて行きました。
「少しは楽になったのか?」
「ええ。少しだけど……。ありがとう」
妻の声は、いつもの舌っ足らずの甘え声に戻っていました。が、熱っぽい花びらはいっこうに濡れてくれようとせず、乾き切ったままでした。
便秘時に限らず、いつもこうだったのです。数日前の朝、まだオーガズムとは呼べないまでも歓びを知り始めてくれたので、私にはそれだけが気がかりでした。
膣内はちゃんと潤っているのに、外陰部がまったく濡れない女――妻が体験的にそうなのか、それとも何らかの支障があってそうさせているのか、素人向けに書かれた性医学の解説書を読んでみたところで判断しかねることでした。
私はいつもならオーラルの行為に入るところが、この時はしつこく指で愛撫を続け、唇と舌は秘部の周囲を這わせるだけにとどめました。どうしても妻の花弁に、彼女自身の蜜を溢れさせてみたかったのです。妻が次第に昂ぶりつつあることは確実でした。呼吸が荒くなり、切な気な呻きを洩らし、積極的に私自身のものに舌の愛撫を加えてくれたほどでしたから。
が、妻に期待した変化は見られず、私のほうが性交不能の状態になってしまったのです。
「お腹だいじょうぶかい?」
髪を優しく撫でてやりながら、私の急速な萎えを案じ、悲し気な表情を浮かべる妻に、そんな口実めいた言い方をしました。
「まだ苦しいわ。私のことなんか心配してくれなくていいのに……」
「俺が浣腸してやろうか?」
「恥ずかしいわ、そんなこと……」
「じゃ、タオルで目隠ししてやろう。なっ、それだったら恥ずかしくないだろう?」
と、うまく妻の機嫌をとり、先ずは目隠しに成功しました。
私には、妻の便秘症に役立ってくれれば、という真面目な気持ちもあったのですが、もう一方では、それまでオーソドックスすぎた妻の性を、なるべくスムーズな流れの中で、少しずつでも、悦楽の世界に誘ってやれれば、という真剣な性感情も同時に働いていたのです。
妻は決して不感症でなく、歓びを感じ始めてくれたのですから、もっと深く、もっと高い、きらめくような絶頂の瞬間を与えてやりたかったのです。
(続く)
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