ロープハント 第1回 わが愛奴―立花よしえ
ロープハント 第1回 わが愛奴―立花よしえ
「お縄、ください」とよしえは甘えるように俺を見つめて催促する……。
●美しい獲物
この頃俺はツイているので、ついニヤニヤしてしまう。春から競輪がぼかすか当たるし、マージャンもツキにツイている。いいことがあるな……と喜んでいたのだが、夏になって俺はとうとう、長年の夢を実現した。
立花よしえ――22歳。
このすばらしい愛奴をモノにしたのだ。俺はいっかいのタクシー運転手だが、ガキの頃から愛奴が欲しく、あちこちのSM雑誌に投稿した。しかしもちろん、なんの反響もない。「ちく生! みんないい目にあっていやがって……」
俺はSM雑誌の"調教記"や"ロープハント"の記事を見ると、腹が立って仕方がなく、そう吐き捨てたものだ。
そんな俺がすばらしい愛奴を掌中にするなんて……そのいきさつを書こう。
この六月初め、俺は立川競輪場でその女、立花よしえを見た。
その日も俺はツキ、すでに万券を当てていた。第八レースで俺は4-6を買おうとしていると、その女は穴場でなにを買うか迷っていた。
「むっ……」
ひとめ見て俺のハートはどきんと騒いだ。ショートカットの愛らしい顔付き。オレンジ色のブラウスの下でこんもりした乳房がこぼれそうだった。俺と視線があったとき女は、ぽっと目許を桜色に火照らし、うろたえるように顔をそらした。
「姐ちゃん、4-6だぜ。ばっちり三千円つくよ」
俺がいうと、
「あら……」
女は白い歯並びを見せた。
「間違いねえよ」
「そうかしら」
女は特券二枚、穴場へ手をいれ、俺のいうとおり4-6を買った。1080円がばっちりつき、帰りがけ女は俺に礼をいった。
「おかげで儲けさせていただきました」
「よかったな、メシでも食おうか」
俺たちはその日、関係を持った。俺が強引だったのでなく、女のほうがむしろ誘ったかたちである。八王子の建設会社につとめるOLで、立花よしえ。22歳と紹介した。
「ギャンブルはときどきいきますの。自宅が近いので……」
俺は女を抱きながら、いい感覚だと思った。自慢じゃないが女とクルマは、一度のっただけですべてわかる。
もちろん熟れ盛りの22歳である。男を知っているが、知りすぎているというのでもない。着痩せするタイプで、裸にすると胸、臀部にしこしこした固めの肉がついている。柔らかく、うるおいのある指肉だった。
「俺とつきあわないか」
「奥さん、いらっしゃるのでしょう」
「いるけど別だ。俺はあんたを縛ってみたくなった」
「…………」
「長年もとめていたんだ。あんたのような柔らかい肉の女をな、つきあわないか」
「……」
「縄で縛るんだよ。俺はあんたを調教したいんだ」
俺はせっかちに口説いた。
口説きながら相手の表情をじっと観察した。こんな良質の美しい獲物はもう二度と現われぬだろう。うっかり手放したらそれっきりだ。そう思うと俺は真剣だった。
「考えてみます……」
別れるとき女はいった。
「その気になったら電話してくれ」
俺は名刺をわたした。
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