闇の中の魑魅魍魎【22】
闇の中の魑魅魍魎【22】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●不思議な感覚
今まで、誠子が感じたことのない不思議な感覚の波がそこを中心に広がってきた。
これが快感なのか、と誠子は暗闇の中で思った。
男が帰ったあと、誠子はわざと大きな音をたてて階段を上がり、奥の部屋の障子を開けた。
部屋の中では、父が一升びんを抱えて茶椀酒をあおっていた。
母親は、卓袱台に両腕を投げ出し、その上に顔を埋めて泣いていた。
「何よ、私をあんな男に売りとばしたの? ねえ、答えてよ。本当なの。男が言ってたわよ。どうなのよ」
誠子の大きな罵声にも似た声が部屋に響いた。
「うるさい」
父親がいきなり誠子の頬を殴った。
「やったわね。自分の娘を金のかわりにするなんて最低よ」
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