闇の中の魑魅魍魎【25】
闇の中の魑魅魍魎【25】
身を挺して子供を守るべき両親は意外な行動をとった。
●殺害教唆
そんな生活が五年間続いた。
誠子は二十五歳になっていた。
肉欲だけの毎日を送っていた誠子は、もう通常人の感覚はなくなっていた。
大人に復讐するために没入したセックスの世界だったが、今や当初の目的は喪失して、誠子の肉体だけが独立して歩き出していた。
質屋は年老い、若い誠子の言うことなら大抵のことは聞き入れてくれた。
五年間のうちに、主客転倒していた。
そんな時、街を歩いていて偶然にあったのが大利根であった。
大利根とはこの五年間、全く音信不通だった。
誘われるまま誠子はラブホテルに入り、大利根に身を任せた。
質屋よりも三十歳も若い彼の体は、誠子を夢中にさせた。
そんな誠子を見て、大利根は自分の連絡場所を教え、再会の約束をしたのだった。
どうやら大利根は組に不義理を働いて追われているらしく、誠子に老人の殺害を教唆し、金品を奪い一緒に外国へでも行ってしまおうと言い出したのは、再会してから三度めの情交を持ったときだった。
その時の大利根の目は、八年前の、誠子を女にした時のあの蛇の目だった。
誠子が久しぶりの性交で、興奮している老人の首を絞めて殺害したのはそれから一週間ほど後のことだった。
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