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▼ されど俺の日々【2】

されど俺の日々【2】


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文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

されど俺の日々【2】

次々と凶悪な犯罪を繰り返す正太の犯罪者的性格は中学の頃から如実に現れていた。

●発端

青年の説明によると、

――ガールフレンドを車に乗せてドライブ中、男が手を振っているので停車させると、足を挫いたので駅まで乗せていって欲しいと頼んできた。
それでかわいそうだと思い乗せてやると、男は懐からジャックナイフを取り出し、後部座席から身を乗り出して、青年をおどした。
青年は驚いてどうしたら良いかを考えたが幸いガソリンスタンドの側に交番があったので、ガソリンを入れてくると騙して、交番に転がり込んだ――

というのである。
立野巡査は本署に至急報を入れ、青年の車の手配を要請した。
車はニッサンローレルハードトップ二〇〇〇CC、色はグリーン、ナンバーは○○わ○○○○、中には男と女が一人づつ乗っている。
男は強盗犯人である。
大至急逮捕すること。
女は被害者であり、身柄の確保に万全を期すこと。
早速本署から管轄の全交番、全パトカーに指令が渡り、非番の警察官にも非常召集がかかり、全市内及び、隣接市に非常線が張られた。
これが、やがてマスコミによって大々的に報道されるに至る監禁、強姦、傷害事件の捜査の端緒であった。

青年が交番に駆け込んでから約三十分後、つまり昭和五×年×月×日午前零時三十分、緊急手配された車が発見された。
隣の市との境界に近い、国道上を走っている所であった。
警官に停車を命じられた車は、突然スピードを上げて非常線を突破しようとしたが、パトカーに行手を阻まれ、挙句の果てに、ハンドルを切り損ねて阻止したパトカーに衝突させ、遂に身動きのとれ無くなったところを犯人は逮捕された。
同乗の女性は無事保護された。
平和な北関東の地方都市に、久し振りに発生した凶悪事件であった。


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