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▼ されど俺の日々【4】

されど俺の日々【4】


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文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

されど俺の日々【4】

次々と凶悪な犯罪を繰り返す正太の犯罪者的性格は中学の頃から如実に現れていた。

●前科

就職して一年程経過した頃、正太は暴走族の幹部となり暴力団とも付き合うようになった。
そして、十八歳の夏、正太は強姦事件を引き起こし、告訴され、逮捕された。

驚いたことにあれほど周囲から不良少年視されていたのに、正式に逮捕されたのはこれが初めてであった。
しかし、この逮捕による取り調べの結果はすさまじいものがあった。
告訴された事件以外に正太は何と二十件以上もの強姦を自白したのである。
一つ一つの事件を笑いを浮かべながら自白した正太は、十八歳の少年とは思えないふてぶてしさを既に身につけていた。
取り調べ官に対して、正太は寧ろ楽しげに自供を続けたのである。

被害者は、看護婦、高校生、店員、OL、主婦等、多種多様な範囲に及ぶ。
それこそ、女であれば誰でもと思わせるような被害者群であった。
だが、これらのうち捜査機関が強姦事件として立件し、起訴できたのは二件のみであった。
この起訴された二件は、被害音がいずれも高校生であり、示談も出来ていないということから実刑が言い渡された。
懲役二年であった。

刑務所から出て来た時、正太は二十歳、成人となっていた。
まだ二十歳であり、十分更生し得る年齢である。
立ち直って欲しいとの周囲の祈りにも似た期待は、翌年、簡単に裏切られる。


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