されど俺の日々【5】
されど俺の日々【5】
次々と凶悪な犯罪を繰り返す正太の犯罪者的性格は中学の頃から如実に現れていた。
●傷害事件
二度めの事件は傷害であった。
正太の住む町は中央が城跡をしのばせる公園となっている。
夕方ともなると、繁みの多い公園は恋人達の格好のデートの場所となる。
正太はこの繁みの陰で愛撫に没頭していたカップルを襲い、男を殴り倒し、前歯を上下合計四本、肋骨を二本折り、口から血を流しながら、地面をのた打ち回っているところを更に足蹴にした。
現場を通りかかり、たまたま目撃した別のカップルから通報により駆けつけた警官に傷害の現行犯で逮捕されたものであった。
正太は取り調べに対し、アベックが人目を憚からず露骨な行為をしていたので、思わずカッとなって男を殴ったと述べた。
人目を憚からずとは言っても、しかしアベックが愛の行為に没頭していた場所は、繁みが人目を遮断するようになっている死角のような場所であり、何らかの目的で近づいたことは明らかであった。
多分、男を脅かすか気絶させるかにして、相手の女を凌虐するのが目的だったのだろうと、取り調べ官は追及した。
しかし、正太は頑としてその動機を認めなかった。
検事は単なる傷害事件として起訴せざるを得なかった。
この事件も、倒れている相手を更に足蹴にするという悪質な加害行為が認められること、被害者への弁償も済んでいないこと、前の罪を犯してからまだ間もないことなどの理由により、重い刑が言い渡された。
懲役二年であった。
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