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▼ 殺意の原点【6】

殺意の原点【6】


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文=法野巌
イラスト=笹沼傑嗣

殺意の原点【6】

棄てられていた若い女性のバラバラ死体は、性器を抉り取られていた……。

●政治家の世界とホステスの世界

私は大学時代から政治家を目指しておりました。
私がおりました大学は昔から政治家志望のものが大勢入学してきまして、従って卒業生には何人もの政治家がおります。
私は入学する前にはそんなことは考えておりませんでしたが、大学に入ってみると私の周囲には政治家志望の者が大勢いたので、いつのまにか私も将来政治家になろうと考えるようになったわけです。

政治家になるためには、政治家のもとで秘書として働き、いろいろと勉強するのが良いと先輩から聞かされていましたので、卒業すると、その先輩から紹介されたN県選出の代議士の下で、私設秘書ということで働くようになりました。
最初の頃は、給料も安く苦しい毎日でしたが、二、三年も過ぎると、私もすっかり政治家の秘書としての仕事に慣れ、政治資金づくりを担当するようになりました。

この仕事を担当するようになってから私は大分金銭的に恵まれるようになりました。
というのも、政治資金はその性格上、公に出来ない部分も大分あるのです。
ある会社から政治献金ということで金を受けとっても領収証を切らないこともあります。
一〇〇万円受領して、事務所の方には八〇万円入れるというようなことをしても、まずばれるようなことはありません。
又、例えばれたとしても、その程度のことが大目に見られるような政治家でなければ、周囲の者がついて行きません。
というようなことで、私は大分金を自由に使えるようになり、毎晩のように銀座や赤坂あたりの店で飲むようになりました。


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