色魔の勲章 第1回【2】
色魔の勲章 第1回【2】
養子として虐げられた幼年期を過ごした男に宿った性への渇望。
●色魔の誕生
安高は、善知鳥家での愛情に対する飢餓感を埋め合わせるためであろうか、小学校に入学する二年ほど前から、近所の同年代の女の子、あるいは、一つ二つほど歳上の女の子達との淫靡な遊びを始めるようになった。
俗に言う「お医者さんごっこ」である。
安高に最初にその遊びを教えたのは、彼より一つ年上の女の子だった。
その女の子の家庭は、両親の放縦な性生活の結果を露骨に示すかのように子供の数が多く、その子を含めて八人を数えた。
彼女は下から三番めの子だった。
彼女の両親は、どちらも好色な性格で、そんな自らの性格を心の裡にとどめておくほどの教養も全く持たない夫婦だったから、近所の者が遊びに行った時などは、大抵、性や性交を中心にした話を始めて恬として恥じることは無かった。
「タベは、父ちゃんのさつまいもを三本も食べた」
とか、
「あの時のお××こはめったにないほど気持ちが良かった」
とか、そんな露骨な表現を平気で子供達の前でする夫婦であった。
そんな親と毎日を過ごせば、いかに純心な子供達でも、いや純心だからこそ、そういった雰囲気、淫らな環境にたちどころに染まってしまうのも無理のない話であった。
その女の子も性の何たるかを理解し得ないながら、性に対して異常と思えるほどの興味を示す子だった。
大人しい安高は、彼女にとって、格好の実験材料に思えたのだろう。
彼女は彼を誘っては、近くの山の中に入って行き、うつそうたる雑木林の木立の陰に腰を落とし、互いに下半身を曝け出し、安高に命じて、自分の幼い、未成熟の秘裂に、草の葉を丸めて押し込ませたり、安高の大人の小指ほどもない、突起物を揉んだり、相手の菊蕾に指を差し入れ、その指にしみ込んだ汚物の臭いを嗅いだりといったことを、飽きることなく繰り返したのである。
安高も、幼いながら、何か淫靡なことをしているという意識はあり、それ故に、この女の子と二人きりになることが何よりの楽しみであった。
一度、安高は親にこの快楽の現場を目撃され、家に帰ってきたところを激しく叱責されたことがあった。
それは、安高が自分より年下の女の子を雑木林に誘い出し、一歳年上の女の子に手ほどきされた遊びを、そのまま施しているところであった。
女の子は、安高の命ずるまま無言でズロースを下げ、両足を開き、安高にその恥部の全てを曝け出し、草の葉を丸めたものを受け入れていた。
丁度その頃、薪を拾いに来ていた母親に現場を目撃されたのであった。
家に帰って、親に誰とどこで何をしていたのかを問われた安高は、子供心に女の子との遊びは伏せておこうと考え、校庭で砂遊びをしてきたと答えたものである。
すると母親は色をなして怒り、あのようなことをする子は将来ろくでなしにしかなれないと断言し、あまりの叱責の厳しさ故に泣きじゃくる安高に追い打ちをかけるように、
「もっともこの家の跡取りは、お前でなくて良かったよ」
と口をすべらせた。
安高が、自分は両親の本当の子供ではないのではないかとの疑いを持つようになったのはこの頃からである。
こういった家庭の雰囲気の中に、安高は中学校を卒業するまで浸されていた。
その結果、安高の性格は表面的には大人しく、しかし人の目の届かないところでは、それまでの不満を一挙に爆発させるかのごとく荒々しい感情を剥き出しにするといった、二重人格者となっていったのである。
上へ |
カテゴリ一覧へ TOPへ |
■広告出稿お問い合わせ ■広告に関するお問合せ ■ご意見・ご要望 ■プライバシーポリシー ■大洋グループ公式携帯サイト |