ベージュ色の襞の欲望 第1回
ベージュ色の襞の欲望 第1回
成男は些細な事で激情し、冷酷非情の行動をとった。
●責任能力
最初から少々固い話で恐縮千万であるが、後の話をよりよく理解して貰うために、ここで、刑法における「責任能力」について、団藤重光博士の著書「刑法綱要」の頁をめくって見よう。
責任能力とは有責に行為をする能力である。この能力を欠けば、いかなる犯罪行為を働こうと現行法上は不可罰であり、何ら刑を科せられることはない。
又、青任能力とは、簡単にいえば、行為の是非を弁別し、弁別にしたがって行動を制御しうる能力である。事の是非を弁別することが出来ない者であれば、彼が殺人を犯そうと処女に暴虐の限りを尽くそうと、無罪である。
以上の考えを大前提として、刑法第三九条は以下のように規定する。
心神喪失者の行為は之を罰せず。
心神耗弱者の行為は其の刑を減軽す。
つまり、ある犯罪者が犯行当時、心神喪失状況にあったと認定されれば裁判所は被告人に無罪を言い渡さなければならない。
一方、起訴を担当する検察官も将来、弁護人の申し出により、あるいは裁判所の職権により被告人の精神鑑定でもされて、心神喪失の状況にあったなどとされてはたまらないから、被疑者の態度を見て、少々おかしいところがあると思うときは、起訴をするにつきいきおい慎重になり、あらかじめ、精神医などに精神鑑定を頼むことになる。
重大な結果をもたらした犯罪者が何ら罰を受けないなんて、と思われる方が多数いるに違いない。しかし、責任無能力者ということになればどうしようもないのだ。ある行為が構成要件に該当し、違法かつ有責であることが、犯人を処罰しうる最低限の条件であるからだ。
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