|
人間10人いれば、その風貌も性格も10通りあるように、一口にM男性といってもそのSM観、M嗜好は千差万別。マゾヒストとしてそれぞれが様々な思いを持ち、SMプレイにその人生の一部(あるいは全部?)を捧げている。
今回この連載にご登場願った「雨男」さんは、レインコートフェチ。正確に言うとレインコートを着た状態で、S女性に弄ばれたいという性癖の持ち主である。素肌にレインコートを羽織り、ボタンをぴったりと留め、今日も雨男さんは恍惚となる。 |
★レインコートフェチの原体験 いろんなフェチが世の中にはいるが、その存在を知られながら、なかなか会うことができないフェチもいる。今回登場の雨男さんはその典型的な存在だ。 私自身、古いSM雑誌でそういう人の存在を知りながら、これまでレインコートフェチには一度も会ったことがない。 雨男さんもこう語る。 「私も古い雑誌に出ているのは何度か見ましたけど、自分以外のレインコートフェチには会ったことがないです。かなり少ないみたいですね。でも、インターネットにはそういうサイトがあって、前にメールを出したことがあるんですけど、返事は来ませんでした」 雨男さんは東北の出身。県名は秘密だが、今も東北に住んでいる。雨男さんがレインコートにとりつかれるようになった原体験は出身が東北だったことにも関わっている。 「私が三歳か四歳の頃だったと思うんですけど、二つ上の知り合いのおねえさんがうちに遊びに来ていて、彼女が着ていた防寒具を着せてもらったんですね。アノラックです。そのアノラックにはフードがついていて、口の部分を覆い隠すマスクもついていた。それをボタンでとめると、顔全体が覆われる」 アノラックという言葉自体、最近あまり聞かなくなったが、北国育ちの私も、子どもの頃はフードがついたアノラックを着ていて、そう言われると口や鼻の部分を覆うマスクみたいなものがついていたような記憶がある。これをつけると目出し帽状態になり、これがあるのとないのでは、防寒効果が全然違う。 「何がそうもよかったのかはよくわからないんですけど、それを着た時にすごく気持ちがよかったんです。そのマスクの部分には彼女の口がついていたわけだから、間接キスじゃないですか(笑)」 たぶん、これはあとづけだろう。その後もおねえさんがしばしば彼のうちに来ていて、やがて彼はほのかな恋心を抱くようになったということなので、のちのちその快感に間接キスという意味合いが加わったのだろう。 第2回に続く(「スナイパーEVE」vol.7より再録/2002年11月頃取材) |
|
COPYRIGHT(C)2012
WaileaPublishing |