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0302当世マゾヒスト列伝

マゾヒストとして生きる道を選択した男たちの物語 M男性におくる珠玉の電脳活字ワールド

女性のための馬になりたい「馬之介」さんの巻 第4回
12.22 14:30更新

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文●松沢呉一
Text by Matsuzawa Kureichi

人間10人いれば、その風貌も性格も10通りあるように、一口にM男性といってもそのSM観、M嗜好は千差万別。マゾヒストとしてそれぞれが様々な思いを持ち、SMプレイにその人生の一部(あるいは全部?)を捧げている。
今回のゲストは、少年時代に見た西部劇に影響を受け、人間馬になることを夢見続けてきた「馬之介」さん。自作の拘束具などを披露してもらいながら、氏のSM人生について熱く語ったいただきました。

★女性を肩車して馬になる

今でもよくあることだが、雑誌などでイメージを作り込みすぎていると、どうしても現実とのギャップが生じる。知識もイメージも完璧だった馬之介少年にとって、現実の生々しさは受け入れがたかったのだろう。

「それがね、最初のプレイでいきなりスカトロだったんですよね。スカトロは全く興味がなかったし、今もないです」

ヨーロピアンな耽美世界を想像していた馬之介少年の出鼻は見事くじかれたのだった。しかし、5万円を払うことにしたのが効を奏してか、間もなく復帰して、この店に通うようになる。以来、30代前半までは、あちこちのクラブに通い続ける。

「若い頃はお金がないし、料金は高いしで、大変でした。収入のほとんどはここに使ってました」

馬になりたい願望も着々と実践。

「何の手本もないので、どうやってやったら面白くやったらできるかを自分が考えるしかない。最初は、人間が馬に乗る時の鞍を自分でデザインして、オーダーで頼んだこともあるんですよ」

馬之介さんが四つん這いになって、背中に鞍をつけ、そこに女王様が乗るのである。

「でも、四つん這いだと、高さもないしスピードもないし、馬に乗っているというイメージが全然ないんですよ。だったら、肩車になって乗せる方が高さがあって、スピード感もある。いろいろ作ってみて、15年くらい前に今の形になった。最近インターネットで海外のポニー・サイトを見てみると、『2レッグホース』というのがあって、やはり僕と同じようなことをやっているんですよ」

馬之介さんは、自分でコツコツと、こういう道具を作ること自体が好きらしく、次々と「武器」を見せてくれた。

「試行錯誤を繰り返して、全部自分で作るんです。家には持って帰れないので、アルファイン(SM専門のラブホテル)に籠もったりして」

第5回に続く(「スナイパーEVE」vol.2より再録/2001年8月頃取材)





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