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0302当世マゾヒスト列伝

マゾヒストとして生きる道を選択した男たちの物語 M男性におくる珠玉の電脳活字ワールド

レインコートの上から縛られたい「雨男」さんの巻 第4回
02.09 14:30更新

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文●松沢呉一
Text by Matsuzawa Kureichi

人間10人いれば、その風貌も性格も10通りあるように、一口にM男性といってもそのSM観、M嗜好は千差万別。マゾヒストとしてそれぞれが様々な思いを持ち、SMプレイにその人生の一部(あるいは全部?)を捧げている。
今回この連載にご登場願った「雨男」さんは、レインコートフェチ。正確に言うとレインコートを着た状態で、S女性に弄ばれたいという性癖の持ち主である。素肌にレインコートを羽織り、ボタンをぴったりと留め、今日も雨男さんは恍惚となる。

★最後のレインコートフェチ?

「今はレインコートなんて着ないですよね。オシャレじゃない。ダサいんですよ」

そう言えばほとんど見なくなった。途中で晴れてしまったら邪魔くさく、そもそも雨の中を長時間歩くようなことがなくなったためだろう。今も着ているのは子どもくらいじゃなかろうか。

「着るとしても、フードのついていないオシャレなものですよね。あれじゃあダメなんです。フードがついてないと」

フードをかぶると髪型が崩れるため、大の大人は、フードつきのレインコートなんて着ないだろうし、着たところでフードはかぶるまい。フードをかぶるのは、ウェイト調整中のボクサーくらい。

「あとは自転車に乗った女子中学生とか女子高生ですよね。電車やバスに乗ると、フードをとってしまうのでつまらないんですけど、雨の中で自転車に乗る時はフードをしますからね」

これも言われて思い出したが、自転車通学組にとってレインコートは必需品だ。レインコートフェチ最後の砦は自転車通学の女子学生だ。

このように、レインコートの衰退がレインコートフェチの衰退になっていることは間違いない。和服に欲情する人が少なくなっているように、レインコートは日常性がなさすぎる。現在三十六歳の彼は最後のレインコートフェチかも。

そういえば、北国では、ネッカチーフで頭を覆っている女性がよくいる。昆布を広げていたり、ホタテ貝をさばいているオバサンたちだが。

「あれはダメです。ないよりはあった方がいいですけど、全身とフードが一体化してないとダメなんです」

さすがにうるさいな。

第5回に続く(「スナイパーEVE」vol.7より再録/2002年11月頃取材)





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