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0302当世マゾヒスト列伝

マゾヒストとして生きる道を選択した男たちの物語 M男性におくる珠玉の電脳活字ワールド

レインコートの上から縛られたい「雨男」さんの巻 第6回
02.23 14:30更新

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文●松沢呉一
Text by Matsuzawa Kureichi

人間10人いれば、その風貌も性格も10通りあるように、一口にM男性といってもそのSM観、M嗜好は千差万別。マゾヒストとしてそれぞれが様々な思いを持ち、SMプレイにその人生の一部(あるいは全部?)を捧げている。
今回この連載にご登場願った「雨男」さんは、レインコートフェチ。正確に言うとレインコートを着た状態で、S女性に弄ばれたいという性癖の持ち主である。素肌にレインコートを羽織り、ボタンをぴったりと留め、今日も雨男さんは恍惚となる。

★初M体験はレインコート持参で

目覚めは早かったが、SMの実践はずっとあとのことになる。

「学生の頃は、まだSが強くて、女の子をいじめたいと思っていた。興奮すると、ガーッてなっちゃうから、女の子とつきあった時も、つきあったというほどじゃないんだけど、相手の手をこう押さえつけてしようとしたり」

つきあってから互いの納得でするならともかく、ちょっと危ないタイプかも。

「そのうちだんだん自分がMだということがわかってきた。大学を出る頃にはMだと自覚してました。就職して東京で研修があったんですよ。今は東北にもSMクラブがチラホラはありますけど、当時はなかったので、この時は最初からSMクラブに行くつもりで東京に来て、SM雑誌を調べて、『中野クィーン』に行きました」

もちろん、レインコート持参である。

「この水色のレインコートをもっていきました」

と彼はそのレインコートを示した。

「思い出の品です。最初から、すごくよかったですね。レインコートを着たまま縛られると、密着度がさらに上がるんですよ。ロープの感触がいいというよりも、ビニールの感触が強まる」

これでレインコートとM性が完全合致。以来、SMなし、レインコートなしのセックスなど何の興味もない。

「もともと女性体験は少ないんですけど、セックスには興味がないです。SMでも射精はあってもなくてもどうでもいいです」

ソープでもイメクラでも、レインコートを着たり、着せたりするくらいはほとんどの風俗嬢は嫌がらず、面白がってさえくれるだろうが、ただレインコートだけではもう満足できず、SMが加わって始めて完成する。

第7回に続く(「スナイパーEVE」vol.7より再録/2002年11月頃取材)





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