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人間10人いれば、その風貌も性格も10通りあるように、一口にM男性といってもそのSM観、M嗜好は千差万別。マゾヒストとしてそれぞれが様々な思いを持ち、SMプレイにその人生の一部(あるいは全部?)を捧げている。
今回この連載にご登場願った「雨男」さんは、レインコートフェチ。正確に言うとレインコートを着た状態で、S女性に弄ばれたいという性癖の持ち主である。素肌にレインコートを羽織り、ボタンをぴったりと留め、今日も雨男さんは恍惚となる。 |
★「情けなさ」がキーワード これ以降はMとして時々東京のSMクラブへ。そして現在はもっぱら東北某市のSMクラブに通っている。 「でも、自分以外にレインコートフェチの人の話は聞かないです。そのクラブはホテルに出張なんですけど、ドアを開けたら、バレリーナの格好をして白鳥の湖を踊っているM男さんの話とかは聞きます(笑)」 バレリーナマニアより少ないレインコートフェチ。 「私もよく自縛して女王様を待ってます。レインコート着て、口にギャグをして、身体を縛って、ドアのノブにくくりつける。女王様がドアをあけて入ってきて、『なにやってるの』って言われて情けない気分になる。あの情けない気分がいいんです」 彼が欲情するキーワードはこの「情けなさ」。 「軽んじられたり、冷たくされたりする情けないカンジ、切ないカンジが好きですね。あと、雨の中でレインコートを着て歩くと切ないですよ。雨自体が好きというわけではないんですけど、雨が降ると、深夜、全裸の上にレインコートを着て雨に濡れながら歩くんです。切ない気持ちになれますよ」 こんなことを言ってはいけないが、雨男さんはそんなことしなくてももともと情けない雰囲気を身にまとっているタイプ。会社でもうっかりミスを連発して叱られていそう。 「男の上司に叱られても腹立たしいだけですけど、女子社員に叱られると、情けなくて、ちょっと嬉しいですね(笑)。美人の上司がいて、叱られたりするといいんですけどね」 彼は日頃こんな妄想ばかりしていて、その妄想を文章化して小説にもしている。独身なので、会社を出ればSMとレインコートに浸っていられるのだ。女子社員が叱ってくれれば会社でもSMプレイになる。 第8回に続く(「スナイパーEVE」vol.7より再録/2002年11月頃取材) |
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