文＝遠藤遊佐

適材適所。
私が“W不倫"と聞いて、まず思い浮かぶのはこの言葉。

自分の奥さんとは何年もセックスレスで「なかなか家族とヤル気は起きないよね〜」なんてうそぶく男が、年齢も見た目も奥さんとたいして違わない人妻と濃厚な性生活を楽しんでるなんて話、よく聞きますよね。
女の側からしてもそれは同じで、旦那のことなんて“給料持ってくる人"としか思ってないような奥さんが、旦那と似たような腹の出た中年オヤジを「彼氏」と呼んで、ラブホにしけこむのを生き甲斐にしてたりする。

どっちも安定した家庭性活を壊してまで付き合う気なんてさらさらないし、「手の届かないような上玉とヤリたい!」なんてだいそれたことを思ってるわけでもない。
ただ、気持ちいいセックスと少しのトキメキを純粋に楽しみたいというだけ。
ある意味、一番奔放にいやらしくなれる状況。それが“W不倫"。

えー、一体何が言いたいのかといいますと、本作に出てくる人妻・公佳さんは、まさしくそんな“適材適所"がうまくハマった幸せな奥様だってことです。

32歳、結婚6年目。小柄で親しみやすいタイプの彼女は、スポーツクラブで知り合ったオヤジと温泉旅行に出かけます。
「お互い干渉しないのが夫婦長続きのコツ」「奥さんにバレたら大変だよ〜」「実はうちの夫はメタボなの」なんてことを明るくサバサバと言う公佳さん。
「それはそれ、これはこれ」というワリキリ具合は、まさにW不倫!　いやあ、このユルい感じ、いいですねえ。

旅館に着くと、まずは2人並んで瓶ビールで乾杯。
男がカバンの中からとり出した大量の縄を見て「えー、これ使うのぉ?」なんて期待に胸を高鳴らせながら早速プレイに突入します。

愛人をM字開脚で椅子に縛り付け、
「お前は今日、私の奴隷になるんだよ。俺から離れられなくなるんだ……」
なんて、いかにも芝居がかったセリフを口走りながら責めまくる男。
電マとバイブの2本使いでグリグリされた公佳さんは「やめないで、イッちゃうよぅ〜」と可愛く悶えまくります。

中年男と人妻からにじみ出る所帯染みた感じに、ちょっと笑っちゃうかと思ったんですが、こう見えてこのオジサンなかなか容赦ない責めっぷり。
寸止めを繰り返して息も絶え絶えにさせたかと思うと、お風呂タイムを挟んだ2回戦目ではハミ毛レオタードの上から縛り上げて本格的な蝋燭責め。さらには、ここぞとばかりにアナル拡張にまで乗り出します。

挙げ句は体中を洗濯バサミだらけにして、絶叫する愛人を再び蝋燭責め。もはや「SMごっこ」なんて言ってられるレベルじゃありません(まあ、アートビデオですからね)。

うーん、やっぱりこんなこと家庭内ではできないよなあ……。

お風呂場で身を清めるついでに緊縛浣腸し、シメは布団の中でイチャイチャしながら普通のセックス。
奥さんが今までで一番嬉しそうな顔をしてたのが、妙に可愛かったです。