発売日：2010年5月25日
品番：FAX-273
収録時間： 113分　
通販価格：3,500円
メーカー：FAプロ

文＝梶山カズオ

本来、出演女優の北原麗子、真鍋美奈などの5人は、いわゆる｢企画単体｣ながら決して"世間にいる"レベルではないはず。美形揃いの彼女立ちが、あえて輝きを消す地味な化粧、地味な服装、地味な雰囲気を身にまとう。田舎の畦道を軽自動車で走っていたり、スーパー西友あたりで真剣にキャベツを選んでいそうな、世間によくいる女になりきってこそ、親近感が湧き作品のリアリティを上げる。これぞ監督ヘンリー塚本流と言えるのではなかろうか。本作では、そんな世間によくいる女達の"異常性癖"をテーマに搾っている。

まずは北原麗子によるW不倫の話だ。田んぼの真ん中にあるバス停留所が2人の待ち合わせ場所。落ち合うまで2人は、互いの性生活をテレフォンSEX形式で報告し合う。そして合流すれば、車内で愛撫もなく即挿入だ。女は相手の男を｢山崎さん！｣と敬語で話しかけるなど、性報告やら、敬語やら、不倫経験者なら解る"あるある"が随所に散りばめられている。これは中年世代には思い当たる節があり過ぎて燃えるはずだ。ホテルに移動すれば、発情期の動物だ。互いの淫部を激しく弄りあい、2回戦、3回戦と体力が尽きるまで交わり続ける。時間限定の不倫愛だからこその、燃え上がるSEXをしっかり再現している。

続いては真鍋美奈が父親との近親相姦だ。狭い和室で寝ている娘に、慣れた手付きで服を剥ぎ取っていく親爺。彼女も拒みもせず、すんなり69から挿入へ。ここでアングルが切り替わり……上の部屋に住む一人暮らしの熟女が写る。｢朝晩2回、今日も始めたわ｣と呟くと畳を外し、床に空いた穴を覗き、マスをかき始める。下階のSEXに合わせるように、手マンならば上の熟女もセルフ手マン、下階が挿入すれば熟女も卓に固定したバイブを後背位で挿入する。

｢んっ、くっ、ぁぁぁ、んっ｣

熟女の声を押し殺すような表情が、また観ているこちらを興奮させる。一体、親子の近親相姦に興奮しているんだか、熟女のオナニーに興奮しているんだか、自分でもなかなか解らなくなってくる映像だ。熟女がオナニーで果てた後の切なげな表情もまた素晴らしかった。

そして美熟女・結衣編では、まず彼女の電車内での窃盗シーンから始まる。盗まれた男とは1週間後にバス停で鉢合わせてしまい、逃げる女。当然ながら男の脚力には勝てず、全てを許す条件が｢SEX｣だった。男の部屋に連れ込まれ1発を終えたところで、男の兄貴分である男優・花岡じったが登場する。ここからはWEBスナイパー読者もご存知の通り、野獣的な煮え滾るようなSEXを展開していく。お互いに発情して汗まみれの中で、女が求める。

｢絞めてぇ、首絞めてぇ……｣

望みを叶えれば、アソコが締まるのか男も気持ちよさそうな顔になる。そして首を絞めたままのフィニッシュで、顔真っ赤にして"落ちる寸前"まで追い込まれた女の満足と絶望が入り混じったなんとも言えぬ表情がまたエロいのだ。

後半も親子SEXの覗きオナニーをする人妻や、惚れた男の精液を呑むことで興奮する少女など、登場する女達の異常性癖は、リアリティがありいやらしくもあるが、何処か切なくもある。｢私チンポ大好き！｣なんて軽い淫乱じゃない、世間によくいそうな女達の性癖を、ちょっと覗いた気持ちになれた傑作だった。