監督: ヘンリー塚本
発売日:2010年12月25日
品番:AOFR-001
収録時間:93分
定価: 4980円
メーカー:FAプロ
文=遠藤遊佐
昭和の時代から一貫して、生々しく泥臭い独特のエロスを撮り続けてきたヘンリー塚本監督。
FAプロ創立25周年を迎えたということで、これまでの集大成ともいえる傑作選をリリースしてくれることになったと。いやあ、これはファンとししては黙っちゃおれません。
レイプ、レズ、戦場エロス、人妻不倫などFA作品定番のテーマで分けられているので、自分好みのジャンルを選んで楽しめるのが嬉しいところ。でも事情が許すならやっぱり全部を観てほしいですね。それくらいガッツリ濃厚。ヘンリー塚本のエキスが詰まっております。
で、その第1作目になるのが本作『レイプ〜昭和人妻暴行史』。
30分ほどのレイプドラマが3話オムニバスで収録されてるんですが、どれもどんよりしてしまうくらい生々しくてリアル。
そもそも私は「AVで観るならイヤヨイヤヨも好きのうち的なレイプがいい。女が力づくで犯されて泣きわめいてるようなのは興奮できない」ってタイプなんですが、これを観たらそんな生っちょろい嗜好は吹っ飛んでしまいました。
当たり前だけど、世の中はレイプを嫌がる女と喜んで受け入れる女の二種類だけじゃない。いくら知らない男の肉棒を受け入れるのは嫌でも身の危険を感じればそれは仕方ないし、そう思って諦めてしまえば快感が湧くこともあるでしょう。女の側が毒婦だという場合だってある。
白か黒かで割り切れない男女の深い部分をやるせないほどねっとりと描く作風は、ヘンリー塚本監督ならではです。
第1話は「連続婦女暴行魔 野口信吉の犯罪」。
主人公は、昭和50年代に山間の小さな村で7人の女をレイプし、そのうち5人を殺害した34歳の無職男性・野口信吉。地味な顔立ちで小太り、一見してそんな深い欲望を抱えているようには見えない男なんですが、ノーメイクにナマ脚・白い胸元がなまめかしい農家の娘の後をつけ、次々襲い掛かってはレイプに及びます。
フェラもクンニもなく白いデカパイをちょいと舐めただけで挿入するという獣のようなセックスを繰り返す信吉。犯される女達は、激しく抵抗するもののダメだとわかると大人しくなりそのまま元の生活に戻っていく。しかしあるとき押し入った農家で女に抵抗された彼は、相手を縛って犯しそのまま殺してしまうんですね。
「お母さん、カズオちゃん、助けて……!」
死の恐怖から男を受け入れたものの、結局ぼろきれのように殺されてしまう農家の娘。レイプ魔がちょっとしたきっかけで殺人者にスイッチしていく様子がなんともいえず恐ろしい。
第2話は「痴情の果てに…小川留造殺人事件」。
弟嫁とヤクザ者との不倫現場を目撃してしまった小川留造。
弟嫁は、人はいいけれどセックスが弱い夫に満足できない淫乱女。「あんたのためにおまんこ洗ってきたの……早く舐めて気持ちよくして!」「入ってる! 私の中にでっかいのが入ってる!」とえげつない言葉を吐きながら激しく交わる弟嫁を見て欲望に火がついた留造は、不倫を盾に彼女と無理矢理関係を結びます。
嫌がりながらも次第に感じだした弟嫁を見てほくそ笑む留造。しかし一枚上手なのは彼女のほうで、やがて留造はヤクザ者に襲われ命を落とすことに――。
弟嫁の淫乱さと、登場人物が全員着物(男はフンドシ着用)というのがグッときますねえ。また、小沢とおるや甲斐太郎といったベテラン男優の若き日の姿が見られるのもポイント。これだけでも、AVファンとしてはなんだか得した気分になってしまいます。
そして最後の「吉田隆弘 睡眠薬暴行事件」は、過去に女を強姦したことのある若い薬剤師が、その刺激が忘れられず睡眠薬を使ったレイプを繰り返すという話。
「夫と子供と3人でいる女と偶然再会したとき、黙ってこっちをじっと見た怯えるような目つきが忘れられない」
AVというよりは、ATGの映画のような犯罪動機です。
うーん。これって、実際にモデルのある事件なんでしょうか。
3話とも、レイプに至る理由がさまざまで、深いんですよね。
1話目の野口信吉は「穴があったらとにかく挿れたい。ヤッてしまえば用済み」という生まれつきのレイプ魔タイプだし、2話目の小川留造はヤリマンの弟嫁の色香に充てられ「俺だっていい思いできるんじゃないか」と思ってしまうお調子者。3話目の吉田隆弘に至っては、2年前に出来心で犯した女と偶然再開したことで眠っていたレイプ欲を呼び起こされてしまう。どれも本当にありそうな、思わず納得してしまう心理描写。
ちなみに舞台になっているのは、どの話も昭和の農村部で、そのせいか人間の欲望、逞しさがよりむきだしになっています。
オナニーのオカズになるような生々しさは薄いけれど、FAファンなら必見。ちょっとした犯罪録を観ているような気分にさせられる1本です。
上へ |
カテゴリ一覧へ TOPへ |
■広告出稿お問い合わせ ■広告に関するお問合せ ■ご意見・ご要望 ■プライバシーポリシー ■大洋グループ公式携帯サイト |