文＝安田理央

息子の嫁と舅、そして義父と連れ子という禁断の関係を描いた3本立てオムニバス。

まずは「息子の嫁の割れ目」。息子夫婦の家のトイレに盗撮カメラを仕掛けたり、寝室の覗き穴からセックスを覗いたりしているとんでもない父親。自ら「いい死に方はしません。地獄行きは間違いなしですな」と言ってますが、確かにこりゃ弁解の余地なし。息子の嫁だとわかっていても、一人の女として見てしまう舅。まぁ、この嫁(真島みゆき)が、エロ過ぎるんですよ。朝から寝ている夫のパンツを下ろして勝手にフェラしちゃうとか。カラダつきもまた素晴らしくてね。こりゃあ、エロい目で見てしまっても仕方がないわ。

しかし、実は嫁のほうも舅の視線に気づいていたのです。意を決して、息子の留守中に嫁の家を尋ねる舅。すると舅はおっぱい丸出しの卑猥な服を着て待っていたのです。

そして一線を超えてしまう二人。むしゃぶりつくような、ねちっこいセックス描写はヘンリー塚本ならでは。

続いての「連れ子の娘の割れ目」はちょっと切ない話。妻(橘裕子)は胸を患って寝たきりなのに、性欲を抑えきれない夫(花岡じった)。夫はカラダを求めてくるが、それに応えられない妻は、連れ子である娘(橘ひな)に「父ちゃんと一緒の布団で寝てやってけろ」と頼みます。「生娘じゃないし」と承諾する娘。

「母ちゃん、ヤキモチ焼かねぇか?」
「父ちゃんのためだ」

なんて会話がグッと来ます。

嬉しそうに若いカラダを堪能する夫。そしてその時、天井を見上げながら、妻はそっと涙を流すのでした。

しかし、それでもまた妻のカラダを求めようとする夫。それも愛の表現なんでしょうね。エロくて、切なくて、いい話です。

そして最後の「連れ子の割れ目2」は一転して、ビッチな娘と義父とのドライな関係。友達と電話中の娘(しかも堕胎についての会話!)にお小遣いを握らせるとショーツを下ろして股間にむしゃぶりつく義父。娘のほうも、中年男のテクニックはまんざらでもないようで、「おじさん、気持ちいい」なんて言葉を漏らします。

しかし、終わるとすぐにまた友達に電話して、さらに彼氏が迎えに来るとバイクに乗ってさっさと遊びに行ってしまいます。残された義父の哀れさが身に染みますよ。

中年男の欲望と悲哀を見事に描ききり、なおかつキチンとエロに昇華させているヘンリー塚本監督のスタイルは、いつ見ても揺るぎがなく素晴らしいですね。エンディングのストリップに至るまで、ヘンリー監督の美意識がきっちりと貫かれております。