文=横田猛雄
絵=伊集院貴子
【検便検査】
公民館の前庭には救急車やジープが駐っており、玄関の土間の所に机が置いてあり、そこに駐在さんと区長さんが座っていて、受付けをしていました。
駐在さんや区長さんが受付けでは、誰が来ないかは一遍に分かってしまうのです。
そこで白いセルロイド製のトランプくらいの大きさの番号札をもらって廊下に一列に並んで侍つのです。
公民館は学校の教室と同じような造りになっており、ガラス窓から中を覗くと、中は外の窓際に三ヵ所、白い布を張った、あの病院にあるのと同じようなカーテンがコの字型に立てられて中が見えないようにしてありました。
三列に並んで、それぞれそのカーテンの中に呼ばれて入って行き、暫くして皆、紅い顔してまぶしそうに出てきて急いで帰ってゆきます。
父母が終わって、お姉さん、私、それから酒屋のお嫁さんの順で私達はカーテンの中にそれぞれ呼ばれて入りました。
カーテンの中の保健所の人は三人とも女の人でしたが、白衣を着て、きっと医師か保健婦さんなのでしょう。
番号札を渡し、帳簿のその番号の所に署名すると、丸椅子に座って問診があり、それが終わると、
「さぁお尻から便を採りますから廻れ右して、そこの白墨で印した所へ足のせて、パンツ下げてこっちへお尻見せるのよ、両手は自分の両方の足首を握って!」
と言われました。
床に六十センチ間隔に足印が引いてあるのは入った時から見えていました。
お姉さんより少し年上で、冷たい感じのする女医さんみたいな人にお尻を調べられる……そう思うと私はうっとりしてしまいました。
自分の両足首を握るそのポーズは何だか水泳の飛び込みのスタイルによく似ていて、少し膝が曲がります。
お姉さんには何回もやられていますが、女医さんのやり方は、それと違って、少し強引で事務的で、機械的なのです。
でもそうやってやられるのも、強制的に調べられているというイメージが強く、とってもエキサイティングなものです。
硬いフランスパンを二つに割るようにお尻を開かれた時、今まですぼめていたそこへ急に空気が流れ込んできた感じがひんやりして、といってもだ暑い季節で、きっとそれは、開陳される、という頭脳的なイメージが、冷やりと、という感覚を刺戟したのだと思います。
お尻を高々とかかげさせられて、それを大きく押し拡げられ、見られていると感じるだけで、凄いエロチックな興奮が喚起されるものです。
自分では見えないけど、空気の流れがお尻の肌にとっても鋭敏に感じられ、サッと鳥肌が立つのがよく判りますし、何だか産毛のような物で、お尻の溝から鼠蹊部にかけて触るか触らぬくらいにそうっと撫で廻されているみたいで、それにあの白衣姿ってとっても冷たく、強制的で、いいなあと思いました。
「はい、おロをあーんして、お尻の穴の力抜いて……」
と言われてその通りに、暗示にかかったように従うと、何か冷たい硬い物が一気にお尻の穴にヌッと滑り込んで来ました。
「あっ、くすぐったい、痒い……」
とそんな感じがしたのは、ガラスの棒が入れられたのです。
入れられたガラス棒は、鉛筆で紙の上に点々を三つ四つ書くように小刻みに動かされたかと思ったら、学校の工作の時にもうほとんど使い切ってしまって空になりかけた糊の瓶に示指を突込んで、残りの糊をさらう時のようにクルリと「の」の字を書くように廻され、
「ウッ」
と呻いた時、いきなりスッと呆気なく引き抜かれたのです。
ガラス棒が抜かれる時私は隣のカーテンの中から、
「アウッ」
という小さな呻きがしたのを聞き、お姉さんも今ガラスの棒を突込まれたんだ、と思って首を曲げて横を見ると、カーテンは下の方十センチくらいは空いていますので、大きく拡げさせられたお姉さんの足がチラッと見えましたが、お姉さんの足の指は、スルメイカを焼く時みたいに全部の指がギューツと反り返りました。
お姉さんは私にはとっても上手に指でいじめてくれますが、それでもお医者さんにやられる時は恥ずかしいのでしょう。
「さぁもういいよ!」
と言われて上体を起こし、パンツを上げようとした私の前の所をじっと見とがめた女の人は、いきなり手を伸ばして私のオチンチンをムンズと握り、私の顔を眺めました。
そして独り言のように小さな声で、
「もう大人やわ、フーン」
と言ったのですが、あんなに不意に握られ、それは極く一瞬のことたったのですが、反応しピンと立ってしまいました。
パンツやズボンを直しても外から見ても明らかにエレクトを示していることか分かるので力ーテンを出る時とても恥ずかしかったです。
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