文=横田猛雄
絵=伊集院貴子
【月夜に釜を抜く】
酒屋のお姉さんは国文科専攻で短い間でも中学校の国語の先生をしていただけあって、色々な為になることを教えてくれました。
新聞のお姉さんが私に、
「さぁ酒屋のお姉さんのお釜掘らしてもらいな、あんたチンチンを女の人のお尻の穴へ入れてみとうてしょうがないのやろ?」
と言った言葉を思い出し、
「何でお釜掘るていうような言い方をするのやろうか?」
と言うと、お姉さんは、
「何でか知らんけどケツのことを皆お釜て言うし、自動車運転しとって人の自動車に後ろから追突することを“お釜掘ってもた”で言うなあ」
と言うと、酒屋のお姉さんは、
「私もお尻のことを何でお釜で言うかは知らんけど、江戸時代の物にはお尻のことをお釜で言うとるし、本当は詳しく言うと、お釜ていうのは男のお尻のことで女のお尻はお鍋ていう説もあるけど、普通はお釜がお尻という意味で、そんな男女の区別は本来は無いというのが正しいのやろなあ、昔から『月夜に釜を抜く』というのがいろはカルタにあって色々な解釈がされとって、一般には月の明るい夜に、御飯を炊く大切な釜を盗まれるという不用心さを言うたものやとされとるけど、それやったら釜を抜くやなく抜かれるにせなあかんでおかしいと思うけど、これにはもっと別の大人の訳があって、月夜とは月の夜、つまりメンスて言うて女の人の生理の日の夜のことで、生理の夜は夫が求めても性交が出来ないから、代理行為として釜即ち肛門をチンボで貫くということやけど、その方が理屈にかのうとるから本当らしいなあ」
と説明してくれました。
そして、
「私も一遍体験して見たいとずっと思うとったけど、今日は猛ちゃんのあんなぶっとうて長いので抜いてもろうてほんまに猛ちゃんがグッと突いてくると私もうロからハラワタがとび出すのやないか知らんと思うくらいやし、スッと引かれるとまるで工レベーターのワイヤーが切れて墜落して行くみたいに、ハラワタ引き摺り出されるみたいで、あのトマトみたいな大きい頭がお尻の穴の縁擦るとゴリゴリして洗濯板で擦り廻されるみたいでハラワタ全体が響いて、お腹の中の子も、一体何事が起こったんやろうとさぞびっくりしたやろうなあ」
と言いました。
酒屋のお姉さんは、生理日の膣の代用としてでは無く、肛門を用いての性交が、普通のそれよりも段違いの野太い快感のあるものだということを身をもって悟ったようで、これ以来度々自分からお尻を差し出して私に貫かれたいと哀願するようになりました。
『抜か六』という言葉を教えてくれたのも酒屋のお姉さんで、抜か六とは抜かずに六回連続で入れたままで射精することで、昔からこれの出来る男を本当の絶倫と言う、つまり今式に言えはオットセイ男ということになりますが、私は毎回この抜か六で責めてやり、酒屋のお姉さんは極楽が見えるなんて言っていつも果ててしまって、暫く休まないと起き上がれず、お姉さんの所で一眠りしてから帰って行きます。
それでも六回も射精してやるとお尻の穴は十円玉くらいにぽっかりとロあいて中々締まらず、夥しい量の精が中に溜まっているのが覗けます。
それを見るとお姉さんは、
「男の精は女の粘膜から吸収されて栄養になるで、流してしもたらもったいない」
と言って脱指綿を詰めて栓をしてあげています。
お姉さんに言わせると女性が結婚すると新妻が急に美しく艶やかになるのは、男性の体液を粘膜から吸収しそれが作用して女性ホルモンの分沁を活発にするからだそうで、だから石部金吉のように道徳にこだわって禁欲しているのは人間としてはあまり感心したことでは無く、適当に不倫でも火遊びでもやって楽しむ積極性が若さを保つ一番の秘訣なのだそうです。
人間は異性を意識しなくなったら男は爺むさくなり女は婆になってしまうのだそうです。
(続く)
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