文=横田猛雄
絵=伊集院貴子
いよいよフィストファックを迎えることとなったお尻の穴でしたが、そう簡単にはいきませんでした。横田先生が痛みと苦しみに満ちたその道程を乗り越えることが出来たのも、春子ちゃんという素晴らしいパートナーを得たからに他なりませんでした。お互いの心をひとつにしての度重なる拡張訓練の結果、ようやくアヌスの紐が大きく花開いたのです。
【貫通なるか】
エアマットを壁(タイル貼り)際に寄せた私は、マットの上に仰臥すると両脚を高く揚げ、背中をくねらせてその足が壁にぴったりするように位置し、更に春子ちゃんに両肩を押してもらって、倒立するように両脚を上げて、腰まで壁にぴったりと付けると、両脚を曲げて空中で胡座を組む形にし、交叉した両足首を自分の手で掴んで引っ張りました。
こうすると頭は低く、腰の方が高く、しかし背中を屈曲させていますので内臓が下垂し、肛門が真っ直ぐ天井を向く姿勢になります。いろいろやってみましたが、これが一番アヌスが楽に拡がるポーズです。
春子ちゃんは物凄く熱心に何度も手を入れようとしてくれています。
初めは指を揃えて掌を平にして入れて、指の最後の関節の少し前までやっと入り、手首を右に左にこね廻してくれて、私はヨガと同じように大きくゆっくり腹式呼吸をします。
余程柔らかくなったので今度はいよいよ五本の指を花瓶の中へ突っ込む時のようにすぼめて、栂相の先は中指の根本につけて真っ直ぐに、ズンと入れてもらいます。どうもよく考えてみますとそれは昔の田植えの苗を植えるのと全く同じ形なのです(稲の苗を三本か四本栂指と中指の間に挟んで真っ直ぐ田の泥の中に突き刺して手だけ抜くのが田植えのやり方です)。
東北の半農半漁村の出身の春子ちゃんも、田植えみたいだと笑いました。『悪徳の栄え』(澁澤龍彦訳)の著者、マルキ・ド・サドはお尻の穴に物を突っ込むことを、栽尾する、と表現しています。栽尾とは何と面白い言葉でしょう。その字は視覚的に、直感的に何か尻尾のような物をお尻の穴から突っ込まれて植えつけられるという感覚にぴったりの単語で、察するにサドもやはり何かの苗のようなものを、お尻の穴から突っ込まれ、植えつけられるイメージの中であの作品を記したのでしょう。
(続く)
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