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▼ 大肛門狂時代 お尻の穴のお勉強【93】

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文=横田猛雄
絵=伊集院貴子


見かけはみっともない大ギンタマですが、なかなかどうしてあなどれないものでございます。その道の好き者たちにとって大ギンタマは素晴らしい威力をもつものとして語り継がれているのでした。ぺシャンぺシャンとお尻の穴をたたく大ギンタマを一度お試しあれ。


【サンドバッグ】

GHQの女性高官が言ったサンドバッグとは、とても意味深い言葉なのです。
当時は敗戦の虚脱感から、脱腸の大睾丸は体格の虚弱な日本人特有のもののように誰もが自らに劣等感をもっていましたが、脱腸は何も日本人にだけ見られる現象では無く、欧米人の間にむしろよく見られるもので、欧米人の方が身体の大きな分だけ、それも巨大で、その利用方法も古代からよく研究されていたのです。

進駐軍の女性高官達が言ったサンドバッグとは文字通り砂袋のことで、それはアメリカ西部で砂金が発見された昔に源を発するのです。

日本では蒟蒻二丁を用いてペシャンコぺシャンコすることが通人の間で密かに行なわれますが、アメリカでは大睾丸による肛門刺戟の方法の代償行為として、この砂金を入れるための鹿革のやわらかい袋に砂を三分の二程詰めた物がよく使われたことがその起源で、初めは砂金で一財産を作った方達が、東部の街へ来て、その砂金の袋で娼婦たちのお尻の穴を叩いて言うことをきかせたのが事の起こりだそうで、日本で、

「札束で頬ゲタをはる」

と言うのか、アメリカでは、

「砂袋(砂金袋)で尻の穴を叩く」

と言うのと同じ意味になるのだそうで、砂のしっとりした重量感がお尻の穴に、えも言われぬ快感をもたらしたようで、砂ならぬ生身の本物の脱腸の大睾丸の持ち主は、それこそ全女性のあこがれの星だった訳です。

村長の家の奥座敷で、背後から別の女性がその大きな睾丸を握って、ぺシャンと力強く打ちつける行為も、それで納得がいきます。
砂袋はあくまでも代用品であって、本物の味こそはまさに本物で、他に替え難いものです。

かのアメリカ女性達も、日本へ来て本当は性欲処理の道具として、喉から手が出る程ほしいと思っていても、いかに占領軍の権威を傘に着ても、まさか個人の私的な欲望のために、自由に日本中の若い男性の下半身を露呈させて、『大睾狩り』を行なう訳にもいかきません。

悶々としていた所へ、偶然見つけた庭の置物の焼き物の大狸がその糸ロになったのですから、彼女達がインテリヤとして信楽の狸をコレクションするのはもっともなことです(当時の狸は今の民芸風を強調した物より野趣にあふれていましたから、それに眼を付けた彼女らのセンスは相当な水準と見るべきでしょう)。

私達日本人の貧しい想像力からは、脱腸の大睾丸はみっともない出来損ないとして、旅から旅を行く流れの曲馬団(サーカス)や、あの伝助のような見世物一座に売られて、その一生を終わるのだろうといった漠然とした興味本位の空想しか眼に浮かんではきませんが、欧米では大睾丸が一国の運命を左右するようなこともあったのです。
(続く)


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