文=横田猛雄
絵=伊集院貴子
第一課 瓶切りの極意
熱心な肛門探究家の皆さんは、きっと一日も早くケッツの穴を覗きたくて、丈五郎作りを試みたことと思いますが、実は何事にも秘事口伝(秘伝)とされる極意があり、それの伝授を受けていない者には、事は完全は期し難いのです。
さて、ケッツ覗き製法の秘伝とは、熱意ある求道者よよく聞くがよい。
『ガラス切りで瓶に切れ目を入れて、炎でそこを焙って、熱が一周行き渡ったら、水に漏らして弛く絞った雑巾(タオル)を卓上に置いて、素速く瓶の切り口を一周それにこすり付けて急冷する』ということてす。
そうすると瓶は切り口からパンと二つに離れるのです。
これが極意です。
その時瓶に蓋があれば、切る時からしっかりと蓋を締め、蓋の無い瓶はチリ紙をしっかり詰めて口を塞いでから切るとよい。
そうすると、切れ目をタオルで一周させて冷やした時瓶の中の空気が、焙った熱でやや膨張し、そこへ切れ目を急冷させるので、割れが走ってポンと弾ぜる軽い音がして、自ら二つに離れる(蓋をせず口の開いたままの瓶は、急冷して少し引っ張ると切れて離れる)。
この時使うガラス切りは、昔式のダイヤの2Aよりも、今普及している超硬合金属製の車型の小さな刃先の付いた物の方がよく切れる。
この金属刃のガラス切りは、小さなクリームの空瓶にスポンジを詰め、その中に灯油かミシン油を染み込ませたものを用意して、刃先にその油を付けて切るものです。
昔の一升瓶などは、以上の技法で素直に切れたものですが、今の瓶はサイダーやキリンレモンなどでも肉が厚くて、とかく切れ目から外れて違った方向へ割れが進んで行くことが多いので、各自数多くの瓶を切って、経験によって腕を磨く努力が必要です。
何の道でも窮めることは厳しいことなのです。
第二課 道はもう一つある
さて、そんなに修練するのはとてもかなわぬと諦めようとする君よ、早まるな、ケッツの穴の中を覗いて見たいという初志を、そう簡単に棄てるなかれ、瓶を切るのにはまだ他に方法があるぞ。
四千円程度出費すれば、「ボトルカッターセット一式」が手に入るのです。
どこに申し込めばいいかというと、新日本造形株式会社と美術出版社サービスセンター、東急ハンズ渋谷店です。
所在地・連絡先は別記しましたから、それを見て問い合わせるといい。
更にケッツの穴のためになら数万の出費もいとわぬという求道者は、工具店に行き、ディスク・グラインダーを買うとよい。
我々お尻党のためにマキタというメーカーが、ガラス切断用カッター(電動)モデル四一〇三Dというのを売り出してくれている。
これを取り寄せれば瓶などスパスパに切断出来るが、いつも売れる品物では無いから普通の工具店には無いことが多いので、注文して取り寄せることになるでしょう。
これの使い方で注意することは、水を流しながら切るということです。
ガラス切断用の人造ダイヤの粉は摩擦熱ではがれ易く、又ガラスも摩擦熱による局部の膨張で割れ易いので、水で漏らして切るのが常識なのてす。
更に熱心な、幾つも幾種類ものケッツ覗き(勿論ボボも覗ける)を作りたいと思う同志のためには、本格的なガラス切断機を紹介しよう。
これは十五~二十万くらいするが、直径十五センチの丸鋸の刃で、ガラスの外、石材の小割切断も出来る優れ物で、勿論これも水を使って切る。
その製造発売元は株式会社東京ヴェリエ(東京ガラス工芸研究所)で、所在地等は別記したとおりです。
この切断機が一台あれば何千何万もケッツ覗きが作れます。
※この記事は1993年に収録したものからの再録ですので、情報は当時のものとなります。
(続く)
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